ビルボードジャパンソングスチャートのチャートポリシー変更については昨日お伝えしましたが、その変更が初めて適用される9月7日付チャート(9月2日発表、集計期間:8月24~30日)では最上位をJO1「OH-EH-OH」と三浦春馬「Night Diver」が争います。ビルボードジャパンソングスチャートの予想については、後述する各指標の速報記事(先ヨミ)を用いて行っている方がいらっしゃいますが、個人的にはここでも幾度となく紹介させていただいているあささんの予想が実に興味深いと感じています。あささんによると、JO1と三浦春馬さんが僅差となる模様です。
【ビルボード週間予想続き(総合)】
— あさ (@musicnever_die) 2020年8月28日
配信途中経過が出たが、1位予想(#JO1「#OHEHOH」が #三浦春馬「#NightDiver」を僅かにリード)変更は必要ないと判断
3位は #BTS「#Dynamite」が #YOASOBI「#夜に駆ける」を上回れるか見所
5位は #瑛人「#香水」と #米津玄師「#感電」で接戦https://t.co/OAfWrBbUUM pic.twitter.com/RZPzON68D8
【ビルボード週間予想続き(総合)】
— あさ (@musicnever_die) 2020年8月28日
配信途中経過が出たが、1位予想(#JO1「#OHEHOH」が #三浦春馬「#NightDiver」を僅かにリード)変更は必要ないと判断
3位は #BTS「#Dynamite」が #YOASOBI「#夜に駆ける」を上回れるか見所
5位は #瑛人「#香水」と #米津玄師「#感電」で接戦https://t.co/OAfWrBbUUM pic.twitter.com/RZPzON68D8
自分も同意見ですが、覆る可能性も十分有り得るものと捉えています。というわけで今回は、次週における2曲のチャートアクションを、チャートを構成する各指標からチェックしてみようと思います。
CDセールスについてはJO1が優勢。「STARGAZER」はシングル全体のタイトルであり、シングルCDセールスおよびルックアップ(パソコン等に取り込んだ際にインターネットデータベースへアクセスされる回数)は冒頭を飾る「OH-EH-OH」に加算されます。
【先ヨミ】JO1『STARGAZER』が26万枚で現在シングル首位、三浦春馬『Night Diver』が続く https://t.co/yKavvOkgna pic.twitter.com/38G2mDyjGb
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2020年8月27日
今週水曜までを集計期間とするシングルCDセールスでは2位の三浦春馬「Night Diver」におよそ8万5千枚の差をつけています。つまりはこの差が他指標によってどこまで埋まるかが次週の注目点と言えます。
では、最新週(8月31日付)におけるチャート推移(CHART insight)をみてみましょう。
2曲の動向があまりにも対照的であることが解ります。JO1「OH-EH-OH」のポイント獲得は、8月17日付での動画再生指標(100位未満(300位圏内))以外はすべてTwitter指標によるもの。「OH-EH-OH」のミュージックビデオは今週フルバージョンが公開されているため、今月上旬に登場したショートバージョン(→YouTube)が動画再生指標の加算につながったものと考えます。
一方でデジタル先行解禁となった三浦春馬「Night Diver」はその解禁日が金曜(ミュージックビデオは同日夜)にもかかわらず、月曜を集計開始とするビルボードジャパンソングスチャートでは8月3日付で4位に登場、翌週も同位置をキープし1万ポイントの大台に乗りました。最新週では29位ながら、デジタル指標群が比較的好調に推移しています。
これらを踏まえるに、CDセールスの大きさは両者変わらずもCDセールスの比重が大きいであろうJO1「OH-EH-OH」と、他指標もまんべんなく取り込むであろう三浦春馬「Night Diver」の首位争いが、9月7日付ビルボードジャパンソングスチャートで見られることになります。
ここで前作の動向から今作を占ってみたいのですが、三浦春馬「Night Diver」は昨夏のデビュー作「Fight for your heart」から大幅に売上を伸ばし比較対象にすることは困難と言えるため、JO1のみ取り上げます。彼らのデビューCD「PROTOSTAR」は初週シングルCDセールス34万強を記録し、CDの冒頭を飾る「無限大」が3月16日付ビルボードジャパンソングスチャートで首位を獲得しています。
【ビルボード】JO1「無限大」がシングル344,299枚を売り上げ総合首位 赤ちゃんが泣き止むと話題の反町「POISON」はTwitter 2位で総合38位に https://t.co/9Dc7WBP57Q pic.twitter.com/DxY99VtnVE
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2020年3月11日
当該週においてはシングルCDセールスの速報記事が出ていないため、「PROTOSTAR」の水曜までの売上と「STARGAZER」のそれとを比較することはできませんが、おそらく「STARGAZER」は最終的に「PROTOSTAR」並の売上を獲得するものと思われます。そして今回も前回同様のチャート構成比となるならば、「無限大」がシングルCDセールス加算初週に獲得した30399ポイントに近い数値となることでしょう。
3月16日付ビルボードジャパンソングスチャート、トップ5における指標毎の順位をみると、「無限大」はシングルCDセールスに長け、ダウンロードでもトップ20入りした一方接触指標群は強くなく、またTwitter が高い一方でルックアップは2位にとどまっています。このルックアップで首位を獲得したのは同週総合3位に入ったMr.Children「Birthday」で、CDの売上は「PROTOSTAR」の2割に届かないものの同指標を制した理由は「PROTOSTAR」のユニークユーザー数の多くなさ、および「Birthday」のレンタル人気の高さではと推測しています。特にレンタルについては、最新8月31日付において関ジャニ∞「Re:LIVE」(総合首位)が30万枚以上を売り上げながらもルックアップ指標首位の座をOfficial髭男dism「HELLO」(総合11位)に譲った大きな原因ではないかと捉えています。尤も関ジャニ∞等ジャニーズ事務所所属歌手については他の男性アイドルグループよりレンタルCD在庫が確保されているという印象はあります。
「無限大」についてはさらに、ミュージックビデオのフルバージョンがCDリリース前の2月の段階で解禁されながらも、動画再生指標が現在まで一度も加算されていません。
尤も「OH-EH-OH」はショートバージョンのみ公開の段階で動画再生指標に加算されたほか、公式Twitterアカウントが再生回数に応じた”公約”を掲げていることから、ファンの連帯を中心とした再生回数増加は十分に考えられます。
📢2ND SINGLE発売記念
— JO1 (@official_jo1) 2020年8月26日
『OH-EH-OH』MV再生回数達成公約!!
🔗https://t.co/fZswSRYRzp
✔︎300万Vew:『OH-EH-OH』Performance Video
✔︎500万Vew:『OH-EH-OH』Practice Video
✔︎700万Vew:『OH-EH-OH』Practice Video Costume Ver.
⭐️1000万Vew:1000万再生達成記念Special企画⭐️ pic.twitter.com/pjEBpnhqbm
さて、JO1の公式Twitterアカウントによるツイートには特徴的な記述がみられます。
✨JO1 2ND SINGLE『STARGAZER』発売!✨
— JO1 (@official_jo1) 2020年8月26日
今すぐチェックしてみてください!
🔗https://t.co/aqQP2vVNSV
1. OH-EH-OH
2. So What
3. KungChikita (JO1 ver.)
4. Voice(君の声)
5. GO
6. My Friends#JO1 #STARGAZER #OH_EH_OH #SoWhat #KungChikita #Voice #GO #MyFriends pic.twitter.com/miAz9VZAXd
CDでは複数種で異なるカップリング曲が用意されていましたが、デジタルではスペシャルエディションとして全曲を用意。この「STARGAZER」に収録された6曲すべてが8月31日付ビルボードジャパンソングスチャート、Twitter指標トップ10内に登場しているのですが、上記ツイートでは6曲すべてハッシュタグ化され列記されていることが解ります。
公式Twitterアカウントによる収録曲のハッシュタグでの列記は8月21日が最初の模様であり、それ以前にはファンによる同種のつぶやきがあったことから、公式側がこの手法を採り入れたのかもしれません。このような公式の使用は、収録曲の列記を公式が認め、勧めたと言えそうであり、Twitter指標については次週大幅に伸ばしてきそうです。
「PROTOSTAR」で首位の座を獲得できなかったルックアップ指標については、この春以降特に男性アイドルの曲で伸びているものが多く、ファンによる”購入したCDを全て、パソコン等インターネットにつながった機器に取り込む”という動きが徹底されてきたのではと感じています。歌手のファンによってルックアップの動きは様々ですが、仮に前作以上のルックアップを獲得できたならば徹底の証拠と言えそうです。一方で自分がよく行くレンタル店舗に足を運んだ際「STARGAZER」の在庫は1枚のみ。他店でもレンタルCDの在庫が、仮に増えたとしてもそこまでではないだろうと考えると、レンタルに伴うルックアップの獲得は厳しいかもしれません。
JO1「OH-EH-OH」は9月7日付ビルボードジャパンソングスチャートにおいて、前作よりルックアップや動画再生指標を取り込む可能性もあることから、獲得ポイントは3万点台前半と捉えるのが自然だと個人的には捉えています。
一方の三浦春馬「Night Diver」ですが、初週の最終的なCDセールスが20万を超えるのは確実。8月31日付ソングスチャートではNMB48「だってだってだって」が22万枚の売上により2万ポイントを突破していますが、シングルCDセールスがチャート構成比の95%程度だったことから、22万を売り上げれば19000ポイントは獲得できる模様です。その上で、ダウンロードおよびサブスクの再生回数に基づくストリーミングは幾分復調傾向にあります。
【先ヨミ・デジタル】三浦春馬「You & I」現在DLソング首位、トップ3独占中 https://t.co/7pKzHZP2kg pic.twitter.com/U7wVo0ShvD
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2020年8月28日
「Night Diver」の水曜までにおけるダウンロードセールスは1万を突破し、CDのカップリング2曲とで3位までを独占しています。2週連続で総合4位を獲得した際のダウンロードセールスは35921(8月3日付)→27605(8月10日付)と推移していますが、さすがにここまでの数値には届かないものと思われます。
【先ヨミ・デジタル】BTS「Dynamite」が現在ストリーミング首位 映画好調の髭男「Laughter」トップ10返り咲きなるか https://t.co/FARr6Oswu7 pic.twitter.com/YQSJt3SjZf
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2020年8月28日
サブスクの再生回数に基づくストリーミング指標では水曜までの速報にて「Night Diver」はトップ10入りを果たせていませんが、各サービスでは「OH-EH-OH」より再生回数が多いことが確認できます。以前の再生回数は2603495(8月3日付)→6872979(8月10日付)と推移。Spotifyのデイリーチャートでは幾分復調傾向にあることから、ダウンロードとストリーミングは共に、最も数字を伸ばしたときの5割強は獲得できるものと考えるのが自然でしょう。
これらデジタル2指標よりも順位の変動が大きくない動画再生指標はより安定してポイントを獲得できる源となるでしょうし、さらにTwitterにおいては月曜から歌手名および曲名がトレンド入りを果たし、同指標でこれまでにないポイントを獲得できるはずです。ならば、シングルCDセールスとこれら指標群とで3万ポイントを超える可能性も十分考えられるのではないでしょうか。
他方、至極勿体ないと思ったのはレンタル解禁が17日後であるということ。TSUTAYAのレンタルCDページで三浦春馬さんの作品を検索すると判るのですが、気になるのはデビュー曲の「Fight for your heart」が発売とレンタルとが同日だったという事実。「Night Diver」の売上が寄付に回るということで、接触状況を減らしてでもCDセールスに集中させたいというレコード会社や芸能事務所側の意向があったのではないか、ゆえに前作とレンタル解禁日をずらしたのではと思うのです。
しかしながら今回の作品に限らず、”発売と同日にレンタルが解禁されないから所有行動に移行する”方はどのくらいいらっしゃるでしょうか。寄付に回るならば尚の事、当初から所有行動を決めていた方は圧倒的に多かったはずです。また「Night Diver」がここまで話題になっていることを踏まえれば、それこそJO1「無限大」をルックアップで上回ったMr.Children「Birthday」や関ジャニ∞「Re:LIVE」を超えたOfficial髭男dism「HELLO」並のレンタル需要はあったはず。レンタルに伴うルックアップの上昇如何では「Night Diver」がJO1「OH-EH-OH」を逆転する可能性もあったのではと考えると、今回のレンタル解禁遅らせ措置は至極勿体ないというのが私見です。
と、ここまで2曲のトップ争いについて予想を立ててみました。大事なのは、週間チャートを制することは勿論ながら、その翌週の動向も押さえること。順位およびポイントの下落がどこまで抑えられるかをみて、真の社会的ヒットに至ったかを判断する必要があります。
今朝のブログでビルボードジャパンのYouTubeデータの反映方法の変更について取り上げました https://t.co/ztivuveI3A これにより以前紹介した”チャート構成比に占める割合はストリーミング指標5割、動画再生指標20~25%”というロングヒット曲の法則に変化が生じるかもしれません
— Kei (@Kei_radio) 2020年8月28日
とはいえ、ロングヒット曲の法則(条件)において接触指標群が全体の7割以上という事態は大きく変わらないと思います。実際、現在のチャートにおいて長く上位にとどまっている曲の認知度は、所有指標の短期的なヒットで短時間のみ上位に入った曲より高いはず。昨年の紅白の人選も前者に因るものですね
— Kei (@Kei_radio) 2020年8月28日
そう考えると尚の事、所有指標に長けた曲…とりわけCDセールスが強い曲が如何に接触指標群を獲得するか、本当に大きな課題と言えるでしょう。複数枚買ったCDをすべて取り込む等ルックアップを強化する動きも見られますが、コアなファンだけでは限界があるはず。ライト層を芽吹かせる必要があるでしょう
— Kei (@Kei_radio) 2020年8月28日