イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

サブスク3サービスの順位を比較して見えてくるそれぞれの特徴…次のブレイク候補曲がとりわけ明確に示してくれる

昨年5月にICT総研が発表した2019年定額制音楽配信サービス利用動向に関する調査における利用者が多いサービスの中で、ビルボードジャパンソングスチャートのストリーミング指標にデータを提供し且つサービス内のチャートが明示されているところにおける、最新チャートの動向をチェックしてみましょう。5月中旬7月上旬に続く三度目の観測です。

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LINE MUSIC、Apple MusicそしてSpotifyについて上位40曲をリスト化。ひとつのサービスのみに登場する曲を色付けしたほか、LINE MUSICにおけるオレンジの表示は同サービス独自の"沢山聴いた方が当選もしくはその条件に該当する”再生回数上位対象プレゼントキャンペーン実施曲に該当します。キャンペーン該当曲については下記に。

 

7月の分析時にも記載しましたが、LINE MUSICにおいてはTikTokで話題だったり映像作品のタイアップだったりと、若年層に人気がある曲がいち早く上位に進出、時にロングヒットを続ける状況です。BTS「Dynamite」は前週金曜に解禁されたばかりですが3日連続で1位をキープ。実はこの曲もLINE MUSIC独自の再生回数上位対象プレゼントキャンペーン該当曲ですが、他サービスの順位も踏まえるに「Dynamite」についてはこのキャンペーンがなくとも上位進出は間違いなかったものと考えます。なお、BTSの日米におけるリリース戦略についてはBTS「Dynamite」は様々な変化や施策を伴い米ビルボードソングスチャート首位を狙える位置に来ている(8月23日付)をご参照ください。

一方で、LINE MUSIC独自の再生回数上位対象プレゼントキャンペーンが昨日終了した曲は、本日に入り順位が急落。8月24日7時におけるリアルタイムチャートではSuperM「100」が60位、Team Mercury From Zero PLANET「Happy Happy Birthday!」が49位となっており、キャンペーンが終わった途端に人気が持続しなくなるならばヒットとは言えないのでは…という疑問を抱きます。その点を踏まえて8月15日付のブログエントリーではLINE MUSICへの違和感を記載したのですが、しかしキャンペーン該当曲のやや極端なチャートアクションを除けば、LINE MUSICが若年層主体で流行がいち早く反映されやすいチャートであることは間違いありません。またLINE MUSICで面白いのは、Spotifyキャンペーン曲であるVaundy「不可幸力」がそのSpotifyの順位(52位)より高い38位に登場していること。さらに欅坂46「誰がその鐘を鳴らすのか?」が唯一、且つ4位という高位置に入っているのも、若年層に欅坂46が支持され浸透していることの証明と言えるでしょう。

 

一方で、以前保守的と評したSpotifyについてはロングヒット曲が多い傾向が変わらず、またLINE MUSICとSpotifyの中間と記したApple Musicの場合は、今月5日に解禁した米津玄師さんの楽曲が他サービスより多く入っているのが特徴。そんな3サービスで、保守的か革新的かを見極めるのに最適と言えるかもしれないのがオレンジスパイニクラブ「キンモクセイ」ではないでしょうか。

二度の改名を経て昨年1月にリリースしたファーストシングル「敏感少女」のカップリングに収録され、今年1月に発表したファーストミニアルバム『イラつくときはいつだって』の冒頭を飾るこの「キンモクセイ」は、前週水曜に発表された8月24日付ビルボードジャパンソングスチャートのストリーミング指標で20位に入り、総合では41位に上昇しています。

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しかも最新週においてはTwitterは3週連続で、カラオケは初となる100位未満ながら300位以内に入り加点対象に。動画再生指標が未だカウントされず、またYouTubeの動画説明欄に権利関係のクレジットが見当たらないことから、ISRC(国際標準レコーディングコード)未付番のため動画再生指標がカウント対象外ではという懸念がありますが、動画が伸び加点されることになれば次の大ブレイク候補になるかもしれません。

そのオレンジスパイニクラブ「キンモクセイ」の順位はLINE MUSICが7位、Apple Musicが15位そしてSpotifyが29位。この1曲だけで実証するのは無理があるでしょうがこれまでの観測も踏まえれば、ブレイクの可能性を秘めた曲の順位から各サービスの流行反映度(保守的か革新的か)の差が見えてくるかのようです。