イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

今月発売、イギリス発最新ヒット曲コンピレーション『Now 105』注目曲を紹介

イギリス発、ヒット曲を網羅した老舗コンピレーションアルバム"Now"シリーズの最新作、『Now 105』が今月リリースされています。年3回のペースでリリースされていたこのシリーズですが、前作からはおよそ5ヶ月近いインターバルが発生(前作については以前記載しました→こちら)。コロナ禍によるものかは解りませんが、遅れながらもこうしてリリースに至ったのは素直に嬉しいところ。

日本ではおそらく今週から店頭に並ぶものと思われる『Now 105』。SpotifyではNow側のプレイリストもありますが(→こちら)、フォロワーがダントツに多い上記プレイリストを掲載。こちらは歌詞が元のエクスプリシットバージョンとなっています(『Now 105』にはクリーンバージョンが収録)。

 

前回のリリース以降、イギリスのソングスチャートは首位が目まぐるしく変化しており、前作『Now 104』のトップも飾っているトーンズ・アンド・アイ「Dance Monkey」が陥落して以降、実に10曲が首位の座に就いています。首位獲得しながら『Now 105』に入っていないのはクリスマス恒例(?)の替え歌兼チャリティソングであるラドベイビー「I Love Sausage Rolls」(アロウズ「I Love Rock 'N' Roll」のカバー)や、99歳のトム・ムーアがマイケル・ボールおよびNHS・ヴォイセズ・オブ・ケア・クワイアと組んだ「You'll Never Walk Alone」(ミュージカル『回転木馬』劇中曲のカバー)およびBBCのラジオ番組発となるリヴ・ラウンジ・オールスターズ「Times Like These」(フー・ファイターズのカバー)という2曲のコロナ禍におけるチャリティソング、さらにエリー・ゴールディング「River」、エミネム feat. ジュース・ワールド「Godzilla」、ビリー・アイリッシュ「No Time To Die」の6曲。チャリティソングは収録されにくい側面があるにせよ漏れが多い印象がありますが、一方でビリー・アイリッシュは「Everything I Wanted」が収録されています。

 

個人的な注目曲はセイント・ジョン(SAINt JHN)による「Roses (Imanbek Remix)」。クリーンバージョンながら収録されています。カザフスタンのDJ、イマンベックがオリジナルバージョンの声を早回ししダンサブルなトラックに仕立てたバージョンが大ヒット。イギリスチャートを制したほか、アメリカでは最新5月23日付ソングスチャートで最高位となる16位に上昇。TikTok発とのことで、このアプリの影響力の凄さを実感します。

ディスク1の2曲目という好位置に収められたジョエル・コリー「Lonely」。シャザムで1日に検索された回数で新記録を樹立し、さらにイギリスのリアリティショー『ラヴ・アイランド』に使われてトップ10入りを果たした「Sorry」に次ぐこのシングルはイギリスで4位を獲得しています。

今やアメリカのR&Bシーンに欠かせないカリードがディスクロージャーと共に発表した「Know Your Worth」。イギリスで最高27位、アメリカでは57位とさほど振るわなかったものの、先週ディスクロージャーがアルバム『Energy』を8月にリリースするとアナウンス(「Know Your Worth」はデラックス盤に収録予定)。ディスクロージャー久々の新譜への期待値を高める効果となったのは間違いありません。

ディスクロージャーの新譜の発売日がアナウンスされた一方で、サム・スミスアリシア・キーズのアルバムは延期されていますが、両者のアルバムからの先行曲は『Now 105』に収録されています。

 

アルバムがリリースされながらもCD化されていなかったり、コロナ禍等に因るアルバムリリース延期により先行曲がデジタルでしかリリースされていない曲がまとまって収録されている『Now 105』は、良質なコンピレーションアルバムであることに間違いはないでしょう。手に取ることをお勧めします。