3月6日にリリースされたリル・ウージー・ヴァートの2枚目のアルバム『Eternal Atake』が絶好調。日本時間の今朝発表された、最新3月21日付米ビルボードアルバムチャートで初登場首位を獲得しました。
Lil Uzi Vert's latest tops the chart *and* secures the biggest streaming week since Lil Wayne's 'Tha Carter V.' https://t.co/CuSzaKJseh
— billboard (@billboard) 2020年3月15日
初週の288000ユニットのうち、ストリーミング再生回数のアルバム換算分(SEA)は278000。18曲入りのアルバムがサブスク等のストリーミングで初週4億回聞かれた計算に。集計期間1週間でのストリーミング再生回数4億超え達成は、2018年10月13日付でリル・ウェインが『Tha Carter V』が成し遂げた4億3300万回以来となります。
アルバムの勢いはソングスチャートにも波及し、日本時間の明日朝速報発表予定の同日付ソングスチャートでは、リル・ウージー・ヴァートがトップ10に3曲を送り込むのではないかと、チャートを予想するサイモン・フォークさんは分析します。トップ10のうちオレンジで表示されたものがすべてリル・ウージー・ヴァートの曲です。
— Simon Falk (@simmnfierzig) 2020年3月15日
そのリル・ウージー・ヴァートが新たな策を採ってきました。
リル・ウージー・ヴァートの最新作『Eternal Atake』が2017年頃にリリースが報じられていたミクステ『LUV Vs. The World 2』をカップリングしたデラックス版をドロップ🛸🛸🛸🚀🚀🚀 フューチャーやヤング・サグ、チーフ・キーフ、ガンナらとのコラボが新たに収録🛸🛸🛸🚀🚀🚀 https://t.co/b6dNrBRCXF
— HIPHOP HYPE ! (@hiphop_hype) 2020年3月14日
たとえばSpotifyでデラックス・エディションを開くと、アルバム名は『Eternal Atake (Deluxe) - LUV va. The World 2』と表示されます。『LUV va. The World 2』は単体ではアルバムとして表示されません。
このデラックス・エディションの策を採る歌手が出始めています。たとえばヤング・サグは昨夏リリースのアルバム『So Much Fun』に5曲を加えて昨年12月20日にリリース。
またマック・ミラーは、今年1月にリリースされた『Circles』に2曲を追加したバージョンを今週末リリースする模様です。
故Mac Millerの遺族がアルバム「Circles」のデラックス版が現地時間3月20日(金)にリリースされると発表、新たに"Right” と “Floating"の2曲が追加される模様。 https://t.co/M4I6k2S1l7
— 日刊US HIPHOP NEWS (@HIPHOPstation2) 2020年3月2日
しかしながら、リリースの翌週にデラックス・エディションを出すというのは聞いたことがありません。
ヤング・サグ『So Much Fun』のデラックス・エディションがはじめて反映された今年1月4日付の米ビルボードアルバムチャートでは、『So Much Fun』は前週から26ランク大幅アップし10位に到達。他方、”(Deluxe)”と記載されたバージョンはチャートに登場しておらず、デラックス・エディションが合算され集計されたものと思われます(同日付チャートはこちら)。となると、『Eternal Atake』についても同様の合算措置が採られる可能性があります。デラックス・エディションが解禁された日、3月13日付の米Spotifyデイリーチャートではトップ10のうちリル・ウージー・ヴァートが9曲を占め、うち6曲がデラックス・エディション収録曲であることから、次週の米ビルボード、アルバムチャートおよびソングスチャート共にリル・ウージー・ヴァートが大暴れする可能性は高いと思われます。
そこでタイトルについてですが…強い私見と前置きして書くならば、個人的にはこのデラックス・エディションは好みません。弊ブログではこのデラックス・エディションを以前から疑問視しています。同じ作品を2回買わせることでファンに、またオリジナルバージョンの在庫が残っている段階でデラックス・エディションを売り出すことで小売店に、それぞれ経済的な負担がかかるというのがその理由。
ですが、この疑問視はあくまでCDリリースをメインとする場合であり、ダウンロードに関しては後出し分を追加で買えば好いでしょうし、ましてやサブスクにおいてはこのデラックス・エディションをお気に入り登録等すれば好いだけの話、なのかもしれません。それでも、1週間しか間を置かないならばはじめからデラックス・エディションをオリジナルバージョンとして出せばよかったのにと思うのですが。
きっとデラックス版がもともと出来てて、そこから引き算して出来上がるのが最初に公開されるのかな?と想像してます、より再生回数稼げますからね!🤔
— 日刊US HIPHOP NEWS (@HIPHOPstation2) 2020年3月9日
デラックス・エディションに疑問を抱いた自分に、日刊US HIPHOP NEWSのTwitterアカウントからリプライをいただきました(勝手ながら引用させていただきました。問題があれば削除いたします)。たしかに再生回数が稼げるのは先のSpotifyでも証明済なのですよね。
ただ、今後もしかしたら米ビルボードがアルバムチャートにおけるデラックス・エディションの換算方法を変更する可能性もあります。米ビルボードは昨年末、グッズとのセット販売、いわゆるバンドルについてチャートポリシーの変更を実施しました。
この速やかな変更を考えれば、近いうちに今回のリル・ウージー・ヴァートのようなデラックス・エディションについても議論されるかもしれません。浸透してしまう前にその芽が摘まれるのではないか?というのが自分の予想です。