ジャニーズ事務所は音楽面におけるきちんとしたデジタル解禁を嵐にのみ許可しているため*1、嵐以外の歌手で機会損失が起きていることは、YouTubeでミュージックビデオを解禁しながらもSixTONES「Imitation Rain」やSnow Man「D.D.」がフルバージョンではないためにビルボードジャパンソングスチャートにおける動画再生指標が総合順位に対して高くないことからも明らかです*2。今年デビューした2組の動向については今週別途紹介する予定ですが、彼らはまだデジタルの自由が許されている方。総じてジャニーズ事務所所属歌手におけるデジタルの自由度は未だに低い状況が続いています。そしてその姿勢は解散したグループにも敷かれています。その代表格がSMAP。
上記は「世界に一つだけの花」のCHART insight。最新2月24日付ビルボードジャパンソングスチャートにおいては100位未満ながら300位以内に「世界に一つだけの花」が入っていますが、シングルCDセールス、ルックアップ、ダウンロードの各指標が300位以内にカムバックを果たし、カラオケ指標も順位を上げていることから、同じく100位未満ながら300位以内だった前週に比べて明らかに順位を上げたはずです。これは、ソングライトを手掛けた槇原敬之さん(下記ブログエントリー同様、さん付けで記載しています)の事件に絡み再浮上したものと思われます。これまでのエンタテインメント業界の慣例に倣った回収等が実施されず、槇原さんの曲が聴かれるという行動がチャートにも表れたことから、その行動がSMAP版にも波及したと言っていいでしょう。
そして、本日までを集計期間とする、次回3月2日付ソングスチャートではそのSMAP版がさらに上昇するものと思われます。
#中居正広 、退所会見〈5〉 SMAPの曲を贈るなら「いま『世界―』って言っちゃいけないんですよね?」 https://t.co/Mrl2h4OVI2 #芸能ニュース #芸能 #ニュース
— スポーツ報知 (@SportsHochi) 2020年2月21日
中居正広さんの事務所移籍発表会見については多くの方が好意的に捉えている模様であり、自分もそのひとりです*3。この会見で曲名が取り上げられたこと、SMAP再結成の可能性に言及されたこと、森且行さんを含む他のメンバー全員とのやり取りが行われていること(が解ったこと)等を踏まえれば、「世界に一つだけの花」が次週のチャートでさらに駆け上がる可能性は高いはずです。
しかし、先に述べたジャニーズ事務所のデジタル自由度の低さは、話題が曲の勢いにつながる自由につながってはいません。「世界に一つだけの花」はシングルCDが廃盤にならず、ダウンロードもごく一部のサービスに限定されながらフルで解禁されている(レコチョクの場合はこちら)等により話題の度に上昇するとはいえ、そこにサブスクリプションサービスやミュージックビデオが解禁されていたならばと考えると、やはり機会損失の甚だしさに愕然としてしまうのです。しかも一昨日の流れとは直接関係ないものの、『ブラタモリ』(NHK総合 土曜19時30分)の昨日放送回ではタモリさんがSMAP「ダイナマイト」の一節を歌ったこともあり尚の事。
SMAPがサブスク配信していたら、昨日の中居さんの会見で「世界に一つだけの花」や「ありがとう」が、さっきの #ブラタモリ の流れで「ダイナマイト」が再生回数を急激に伸ばしたんだろうなあ…
— Kei / ブレストコナカ (@Kei_radio) 2020年2月22日
タモリさんが司会を務める『ミュージックステーション』(テレビ朝日 金曜21時)をはじめとする音楽番組の存在がチャートアクションに影響を及ぼすことは弊ブログで幾度となく伝えてきました。最新チャートにおいても、一昨日公開された映画の主題歌となったKing Gnu「どろん」が6位に浮上しましたが、集計期間中のミュージックビデオ公開もさることながら『ミュージックステーション』で披露されたことが影響しているとビルボードジャパンは分析。テレビの影響力は大きいのです。
【ビルボード】Official髭男dism 「I LOVE...」2週連続総合首位 King Gnu「どろん」総合6位にジャンプアップ https://t.co/ssF5QalfWP pic.twitter.com/ZuUSyA8QC9
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) 2020年2月19日
ゆえに、テレビ等をきっかけとするチャート浮上の機会を、デジタル未解禁の歌手が手に入れられないことは至極残念に思います。
不可解な解散も相俟って、ジャニーズ事務所側がSMAPのデジタル解禁に着手したくないのではという邪推もありますが、平成を代表する1曲として多くの方に愛された「世界に一つだけの花」をはじめとする、その時代を代表する歌手の作品が気軽にアクセスできるところにないのは、平成史を十分に辿れない意味においても極めて不自然であり、やはり不可解なのです。先程「世界に一つだけの花」のCHART insightを掲載しましたが、昨年5月13日付で36位まで再浮上していることが解ります。これは昨年春の選抜高校野球大会の入場行進曲に選ばれたことも含め、この曲が平成を代表する曲として用いられ、紹介されてきたことが影響しており、それだけ平成史に燦然と輝く曲と言えるのです。ジャニーズ事務所およびレコード会社は今一度、彼らがグループで遺したもののデジタル利活用を検討するよう、強く願います。