イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

米ビルボード、この10年で決定的な影響をもたらした"2010年代を定義する100曲"を発表

実に面白い試みです。

ビルボードは21日(現地時間)、ホームページに「過去10年を定義した100曲」リストを発表した。過去10年間に音楽と文化に「決定的影響」を及ぼした歌100曲を通じて2010年代の音楽産業を説明しようという試みだ。ビルボードは「これらの曲は過去10年間で最高の音楽であったり、最も人気があった曲であったからではなく、2010年代の音楽と文化を形成し反映した曲だからこそ選定された」と明らかにした。ビルボードはアーティストや作曲家、プロデューサー、レーベル関係者、批評家などの業界関係者にインタビューし、これをもとにそれぞれの曲についてのエッセーを載せた。

詳細はこちらに。各曲毎にクリック(タップ)するとエッセイが登場します。

Spotifyのプレイリストは下記に。ジェイ・Zは同サービス未提供ゆえか見つからず割愛しています。

日本語での記事は韓国ハンギョレ新聞のもの。ビルボードジャパンに翻訳記事が未掲載であり、一方でBTSや少女時代、PSYの3組が選ばれたことで韓国紙が取り上げたことから同メディアを紹介したのですが、2010年代におけるK-Popはやはりムーブメントだったということがここからも解ります。チャート的にはまだ弱い指標もありますが("所有>接触"という構成比率が他のジャンルより強い傾向に)、今後はK-Popが定着するものと思われます。またここでの100曲はソングスチャートでヒットした以上にいわば革新的な曲が選ばれる傾向に。スクリレックス「Scary Monsters And Nice Sprites」がその後の洋楽、そして邦楽に与えた影響は計り知れないわけで、納得の選出です。

 

この米ビルボードの試みと同じものを日本でもやってほしいと思うのですがいかがでしょう。ヒットチャートも意識しながら、日本の音楽界に影響を与え方向性を定めた楽曲100曲、基本的に1歌手1曲として選出するという試みです。こういう試みにて紹介され、また著名な音楽メディアや評論家が関わることで選ばれた曲にはさらなる箔が付き、さらにサブスクリプションサービスでプレイリスト化すればユーザーはそこからどんどん掘り下げていくはずです。

仮に企画するならば、ビルボードジャパンが適切でしょう。2008年2月にソングスチャート(Hot 100)がスタートしたビルボードジャパンは、それまで集計対象だったシングルCDセールス、ラジオエアプレイにダウンロードを追加したのが2010年12月6日付であり、デジタルを追加してちょうど10年になります。つまりこの10年はデジタル指標群が日本の音楽業界に影響を与えた歴史でもあり、企画はチャートにも箔を付けることが可能。今から企画立案し原稿を集めるのは至難の業でしょうが、来年明けた頃にでもこのような企画を実施して欲しいと期待しています。