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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

山下智久「CHANGE」ダウンロード配信効果の大きさを踏まえ、ジャニーズ事務所側はデジタル解禁を前向きに考えて欲しいと切に願う

一昨日発表された最新7月8日付ソングスチャート、前週首位の山下智久「CHANGE」は13位に後退したものの、実に面白い動きが見られます。

前週はダウンロード指標が5位に入り、山下さんが所属するジャニーズ事務所の歌手において、2018年度以降にリリースされたシングル曲では同指標最高位を獲得。またダウンロード指標が後押しして総合ポイントは1万を突破、スピッツ「優しいあの子」との接戦を制しました。前週のチャートアクションについては下記に。

今週は13位にダウンしてはいますが、前作「Reason」(2019)が4→91位となり、50位未満はポイント未表示のためポイント前週比は計測不能だったのが、今作は1→13位、前週比23.5%とジャニーズ事務所所属歌手の中では極めて高い数値となっているのです。

この山下智久「CHANGE」のチャートアクションが本当に良い動きかどうか、ジャニーズ事務所所属歌手による2018年度以降リリースのシングルCD表題曲の動向を追ってみましょう(ダブルAサイドシングルの場合は最も順位が上の曲に絞っています)。シングルCDセールス指標初加算週から3週分のシングル一覧を表にしたものが下記。2週目のポイント前週比が黄色で塗られているのは前週比20%以上を示しています。また曲名の下の日付は左が発売日、右がCDレンタル解禁日となり、最近になってレンタル解禁が遅れている作品が登場していることが解ります(それについては6月3日付ビルボードジャパンソングスチャート首位曲からはじまる、ジャニーズ事務所所属歌手のシングルCDの展開手法を疑問に思う(5月30日付)で指摘しています)。

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(※表の形式上、チャートの日付が”月/日/年”となっております。)

シングルCDセールス指標加算2週目におけるポイント前週比20%超えはKing & Prince「シンデレラガール」(21.6%)、KEN☆Tackey「逆転ラバーズ」(20.6%)、A.B.C-Z「JOYしたいキモチ」(26.2%)および「Black Sugar」(21.6%)、そして今回の「CHANGE」(23.5%)のみ。たとえばA.B.C-Zの2週目の好調さはTwitter指標に因るものだということは以前記しています。

他指標が伴わないゆえシングルCDセールス加算3週目は100位圏外にダウンするA.B.C-Zですが、Twitter指標が支えとなり20%を超えたものと推理。他方「CHANGE」Twitter指標が1→8位と好調ながら、やはりダウンロード指標が支えになっているのは明白で、今週のチャート構成比において同指標が3割を超えているというのは、今までのジャニーズ事務所所属歌手にはない動きです。

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(チャート構成比においてダウンロード指標は濃い紫で表示。)

順位の推移、ポイントの前週比およびチャート構成比に占めるダウンロード指標の大きさ…これらの点からダウンロード配信は極めて有効ではないかというのが自分の見方であり、ゆくゆくはストリーミングやミュージックビデオ(出来ればフルバージョンで)の解禁も考える必要があるでしょう。今回のダウンロード配信はレコチョク等一部サービスに絞られているため、iTunes Store等に広げていたならばもっと勢いが増したと思うのですが。

いや、これでシングルCDセールスが落ちたらどうするのだ?という疑問もあるかもしれません。しかし前作「Reason」は72890→4821枚(前週比6.6%)だったのに対し「CHANGE」は91020→7008枚(前週比7.7%)。タイアップ先の歌手本人の関わりの違いもあれど、売上枚数および2週目における前週比の双方で前作より数字を伸ばしているわけで、ダウンロード配信がシングルCDセールスを駆逐するわけではないことが解ります。

 

今回の山下智久「CHANGE」のケースがレアだ、他のジャニーズ事務所所属歌手においてはデジタル解禁でシングルCDセールス等が駆逐されかねない…という見方もあるでしょう。たしかに可能性はゼロではありませんが、シングルCD初加算週(イコール発売週)およびその翌週と2週連続でダウンロード配信効果が出ている以上、一度他の歌手でもデジタル解禁を試し、そこから判断しても良いのでは…と提案します。レコード会社的に厳しいのは承知で書くならば、仮に嵐がベストアルバムリリースのタイミングでアルバム表題曲というべき「5×20」をダウンロード配信していたならば同曲がソングスチャートで伸び、そしてアルバムセールスへもつながったのではないか…昨日のブログエントリーで述べた考えを再度提示したいと思います。