3月18~24日を集計期間とする、4月1日付チャートが昨日発表されたビルボードジャパン。総合ソングスチャートは祭nine.「有頂天シューター」が制しました。
【ビルボード】祭nine.「有超天シューター」が95,051枚を売り上げ初登場首位 あいみょん「マリーゴールド」総合2位にランク・アップ https://t.co/M8HNo2rRXR pic.twitter.com/rB6sKx6Vjp
— Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) March 27, 2019
ただ不安要素が。この曲の総合ポイント、構成比の9割強がシングルCDセールス指標によるものとなっています。前作「がってんShake!」(2018)は同指標加算初週に総合2位に登場するも翌週100位圏外という結果になっており、今回もその可能性が否めません。それではヒット曲と言えるでしょうか? あくまで個人的な見方ですが、"シングルCDセールス指標加算後2週分の動きでヒットを見極める"ことが、特にアイドル等同指標に強いジャンルに対しては言えると思います。
そのアイドルの件。前週チャートを制したAKB48「ジワるDAYS」について懸念を示したのですが、シングルCDセールス指標加算2週目となる今週は23位に急落。ポイントは前週比4.2%という成績です。
そのAKB48は今、正念場ではないかと考える自分がいます。
昨日(厳密には今日)、全国放送のラジオ番組『AKB48のオールナイトニッポン』が終了し、その後番組に乃木坂46の新内眞衣さんが就任することに(新内さんはメインパーソナリティとのこと)。
さらに、テレビの冠番組『AKB48 SHOW!』(NHKBSプレミアム)も今週最終回を迎えています。
この放送前日、乃木坂46・欅坂46および日向坂46の番組『坂道テレビ ~乃木と欅と日向~』が単発ながら総合テレビで放送されたこともあり、差替や刷新、勢いの差と捉える方は少なからずいらっしゃるかもしれません。
先に"正念場"と記載したのは、指原卒業でAKB「紅白出場」途絶える? - 東京スポーツ(3月5日付)という記事を目にしたため。ソース自体や、記事における"関係者"という匿名性等を踏まえれば記事の信憑性には疑問ですが、主要メンバーの卒業と現在のメンバーの認知度、そして『NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか)では2015年以降、(最新曲に加えて、もしくは最新曲なしで)過去曲を披露してきたことを踏まえれば、ここ数年のシングル曲はキラーチューンがなく、広く世間に浸透していないのではと思うのです。
ということで、AKB48についての現状、今の勢いを確認したいと思います。ビルボードジャパンソングスチャートでは2017年度以降、シングルCDセールスにおいては各作品ごとに独自の係数を用い、シングルCDが突出している曲でも他指標が強くないと残りにくいというチャートポリシーの変更を行っていますのでそれを踏まえ、AKB48においては2017年度以降のシングル、そして比較として坂道グループ(乃木坂46および欅坂46)については最近のシングルの、シングルCDセールス指標加算初週および2週目の動向を掲載します。
※各指標について
・ポイント:総合ポイント
・ポイント前週比:前週および当週共に50位以内にランクインした場合のみ計算(50位未満は総合ポイントが表示されない)
・上記の理由により50位未満、総合ポイントで比較不能時は※で表示
・各指標について
(詳細はビルボードジャパンの自問自答 | Special | Billboard JAPANをご参照ください)
CD:シングルCDセールス
DL:デジタルダウンロード
ST:ストリーミング
RA:ラジオエアプレイ
LU:ルックアップ
TW:Twitter
MV:動画再生
KA:カラオケ (2018年12月10日付より開始。2018年度以前は赤で表示)
・各指標毎順位における[-]はランク圏外(101~300位)、[ ](ブランク)はランクインせず。これらはCHART insight | Billboard JAPANから曲名をクリックすると確認可能です
シングルCDの初週セールスこそAKB48が勝っていますが、坂道グループの楽曲はシングルCDセールス指標のみならず他指標もまんべんなく獲得、AKB48では100位以内はおろか300位以内にもランクインしていないこともある動画再生指標や、ストリーミングできちんと結果を残しています。他方AKB48は、上記表で掲載されたシングル曲で、たとえばApple Musicでストリーミング解禁が確認できるのは「ジワるDAYS」や「Teacher Teacher」程度。そしてその「ジワるDAYS」はストリーミング指標で300位以内にランクインしていません。ストリーミングの解禁/未解禁の不徹底によりAKB48の楽曲が聴かれにくい傾向にあったのかもしれませんが、最新曲の同指標の順位の低さは気掛かりです。
またCDをパソコンに取り込む際のインターネットデータベースへのアクセス数を示すルックアップでは、「シュートサイン」(2017)のシングルCDセールス加算初週以降、同指標でトップを獲得していません。坂道グループがレンタル解禁をアルバム同様3週間後にずらしているのに対し、AKB48は常にシングルCD発売と同日の解禁日にしているのですが、このルックアップの低さからはシングルCDのユニークユーザー数が枚数に対して大きく乖離していること、レンタル数が多くないことが見て取れます。
そして、AKB48と坂道グループとの総合ポイントの前週比。AKB48の場合、選抜総選挙投票シリアルナンバーが封入された「Teacher Teacher」が他のシングルに比べて高い一方、5%未満も散見されるのに対し、坂道グループはすべて前週比20%以上を達成しています。実は総合ポイントのみならずシングルCDセールスの2週目における前週比も同様で、坂道グループが5~9%台で推移するのに対しAKB48は選抜総選挙関連曲でも5%未満という状況。その中でも目立つのは最新3曲(「センチメンタルトレイン」「NO WAY MAN」および「ジワるDAYS」)であり、シングルCDセールス2週目が前週比0.6~0.7%であるのみならず総合でも前週比5%未満を続けています。3作続けて低い水準というのは異常事態といえるかもしれません。
これらから、AKB48は坂道グループに対してのみならず、過去の自身にも負けているという状況が確認出来ました。『NHK紅白歌合戦』ではビルボードジャパンソングスチャートを出演者選定の参考にしているものと捉えていますが、近年の楽曲の強くなさ、『NHK紅白歌合戦』での相次ぐ過去曲の披露という状況を踏まえれば、先の記事は実は当たっている可能性が高いのではないかというのが私見です。
AKB48がこの状況を脱するためには、楽曲のクオリティをより高くすることも大切ながら、ストリーミングの解禁、メンバーの認知度向上等も必要になるでしょう。そして、関連グループの社会問題を真に解決しようとする運営側の気概も、グループ全体のイメージ回復のために重要だと考えます。コアなファンを主体としたシングルCDセールス主体の販売から切り替えていくことが出来るかが問われる…というのが自分の見方です。