イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

ビルボードジャパンソングスチャート、ダブルAサイドシングルでどちらの曲もインパクトを残すには?

1月14日~20日を集計期間とする1月28日付チャートが昨日発表されたビルボードジャパン。ソングスチャートでは未だ『NHK紅白歌合戦』(NHK総合他)の余韻を残す形で、米津玄師「Lemon」が4週連続、通算6週目の首位を記録しました。

"紅白"効果は残りつつも総合ポイントは前週比79.1%。それでも1万ポイント超えは通算12週目というモンスターヒットに。順調にいけば次週で今年度の総合ポイント10万超えを達成、年間トップ10入りは堅くなりました。

また、三浦大知「Blizzard」の凄まじさには驚かされます。

アメリカでの『ドラゴンボール超 ブロリー』のヒット(【全米映画ランキング】シャマラン監督「ミスター・ガラス」V 「ドラゴンボール超 ブロリー」が4位に : 映画ニュース - 映画.com(1月23日付)より)が日本でも報じられることで次週も動画再生指標を中心にキープする可能性があり、また2月24日には天皇陛下御在位三十年記念式典にて記念演奏することから(三浦大知、天皇陛下ご在位30年式典で記念演奏 - 音楽ナタリー(1月17日付)より)、「Blizzard」については2月末まで推移をみていこうと思います。

 

さて昨日、ビルボードジャパンソングスチャートについてつぶやいた際、最も多くの反響をいただいたのがV6に関するものでした。

V6について書いた過去のブログエントリーは以下に。

アイドルの中でもとりわけV6においては、いい意味でJ-Popらしからぬ"攻め"の楽曲が多い印象を抱いているのですが、先週リリースされたダブルAサイドシングル「Super Powers / Right Now」においては清水翔太さんによる「Right Now」に対しても感じた次第。

動画はわずか1分のティーザーゆえ、動画最後での♪誰にも渡さない、の直後のシンセドロップ+エフェクト付のボーカル(一種のボーカルドロップか)という"真のサビ"の心地よさがみえてこないのは残念ですが、ここ数年の洋楽トレンドを上手く採り入れた楽曲。ゆえに、ダブルAサイドシングルの場合シングルCDセールス指標が一方にしか加算されないシステムとはいえ、加算されないほうの「Right Now」が100位未満というのは正直ショックでした。「Super Powers」がアニメ『ONE PIECE』(フジテレビ)のオープニング曲ゆえそちらをより強く推したかったのだと思うのですが。

 

 

ダブルAサイド(もしくはトリプル以上)で、一方のみにシングルCDセールス指標が加点されるというのはビルボードジャパンソングスチャートの基本ですが、では加点されない曲が大差を付けられるパターンが常かというと、必ずしもそうではありません。その最たる例が昨年の米津玄師さん。「Lemon」に続いて昨年10月31日にリリースしたシングルがダブルAサイドの「Flamingo / Teenage Riot」。今でこそ両者には順位の上でも大差がつきましたが、シングルCDセールス指標がはじめて「Flamingo」に加算された11月12日付では「Flamingo」が首位に立ったのみならず、「Teenage Riot」が4位に登場しているのです。尤もポイント面では「Flamingo」が「Teenage Riot」の5倍近い数値をあげているのですが。

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「Teenage Riot」は翌週には13位にランクダウンし、トップ10入りはわずか1週ではありながら、ダブルAサイドシングルにおけるシングルCDセールス指標の加点方法を知った上でそれでも両曲がトップ10入りしたと知れば、米津玄師さんの勢いの凄まじさが解るというものですし、チャートの仕組みを知らない方にとっても複数曲のトップ10入りは強烈なインパクトになるはずです。 

実はこの「Teenage Riot」についても、チャートでインパクトを残すための施策が。

 シングルCDリリース直前に週末のライブにて初披露し、その直後にミュージックビデオを解禁したのが「Teenage Riot」(他方「Flamingo」は10月20日に公開済)。YouTubeでの公開日は10月28日日曜となっていますが実際には同日夜遅くと思われ、チャートの集計期間が月曜はじまりであることから動画解禁から1週間分がほぼそのまま11月12日付ビルボードジャパンソングスチャートの動画再生指標にカウント。動画解禁のインパクトが最大限に活きた結果、「Teenage Riot」の動画再生指標は4位(しかも「Flamingo」に次ぐ)となり、全体でも4位になったというわけです。チャートにおいて、よりインパクトを残すためにどのタイミングで公開等実施するか…その施策の巧さは前作「Lemon」でも実証済ですが、ダブルAサイドシングルでも結果を残したのは実に素晴らしいことです。

 

ダブルAサイド(もしくはトリプル以上)シングルとして打ち出すならば、シングルCDセールス指標が加算されない側の曲をどう打ち出すかが問われます。施策を打った結果、両曲ともトップ10入りを果たしたならば、その歌手の凄まじさ、インパクトは十分にチャートを見る側に伝わるはず。テレビで披露することも勿論重要な要素ですが、ならばそこで観た方をTwitter以外でどう取り込むかも大事であり、ミュージックビデオ(出来ればフル尺か、せめてそれに近い形で)の公開やデジタルダウンロード(ストリーミングもあれば尚の事良し)等、即座に接触(所有)出来る形で対応出来るのかがチャート上昇の鍵になるでしょう。その点ではやはりどうしても、デジタルに明るくない歌手については勿体無いなあと思う自分がいます。