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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

米ソングスチャートはまたも首位交代、『スパイダーマン』シリーズから初のナンバーワンヒット登場

毎週火曜は米ビルボードソングスチャート速報。

現地時間の1月14日月曜に発表された、1月19日付最新チャート。主演曲として先週初のトップに立ったホールジー「Without Me」を抑え、ポスト・マローン & スウェイ・リー「Sunflower (Spider-Man: Into the Spider-Verse)」が新たな首位の座に就きました。

ポスト・マローンにとってはトゥエニーワン・サヴェジをフィーチャーした「Rockstar」、タイ・ダラー・サインを迎えた「Psycho」に次いで3曲目、スウェイ・リーにとってはソロでは初、ヒップホップユニットのレイ・シュリマーとしてはグッチ・メインを招いた「Black Beatles」に次ぐ2曲目のナンバーワンを獲得。ストリーミングは前週比17%アップの4760万、デジタルダウンロードは同19%アップの48000を獲得し2指標で首位に立ったほか、ラジオエアプレイでは前週比17%アップの6080万で10位に入り、すべての指標で急進。1月9日に実写版のミュージックビデオが公開され、また前週のチャート速報で書いたように、この曲が用いられた映画『スパイダーマン:スパイダーバース』がゴールデン・グローブ賞のアニメーション作品賞を獲ったことが勢いを加速させた要因といえます。

映画のサウンドトラック発のナンバーワンヒットは、ジャスティン・ティンバーレイク「Can't Stop The Feeling!」(2016 映画『トロールズ』より)以来。また映画『スパイダーマン』シリーズからは初の首位獲得となりました(これまでの最高は『スパイダーマン』(2002)より、チャド・クルーガー feat. ジョジー・スコット「Hero」の3位)。ソロの男性歌手2名のみによるコラボレーションでは、ジョージ・マイケルエルトン・ジョン「Don't Let The Sun Go Down On Me」(1992)以来、実に27ぶりの記録達成です。

そして「Sunflower (Spider-Man: Into the Spider-Verse)」および、今週2位にダウンしたホールジー「Without Me」にも関与しているのがルイス・ベルという方。ソングライターでありプロデューサーでもある彼は、前者では共同ソングライトと共同プロデュースを、後者では共同ソングライトおよび単独プロデュースを担当しており、2週連続で天下を取ったことに。ルイス・ベルはTwitterで、最新ビルボードチャート速報を公式RTしています。

 

他方首位を明け渡した「Without Me」においても、実は勢いが増しているのです。デジタルダウンロードこそは前週比変わらず39000(同指標2位)ですが、ラジオエアプレイは同7%アップの1億250万(同指標3位)、ストリーミングは同18%アップの3830万(同指標3位)と高水準。これは「Sunflower (Spider-Man: Into the Spider-Verse)」同様1月9日にスマートフォンを意識した縦型の新ビデオを公開し、その前日にはジュース・ワールドをフィーチャーした新バージョンもリリースしたゆえ。

チャートでトップに立っても、また勢いが増していても新たなビデオやリミックスを出して勢いを継続させる…この手法は今後日本でも登場するかもしれません。

 

ホールジーは新たに、ベニー・ブランコにカリード共々フィーチャーされた「Eastside」が9位に入り、トップ10に2曲をランクインさせました。

ホールジーにとっては4曲目、カリードは3曲目、そしてベニー・ブランコにとっては歌手として初のトップ10入り。ただしベニーにとってはソングライターとして27曲目となるトップ10入りとなり、そのうち7曲が首位を獲得しています。ベニーの輝かしいキャリアは以前取り上げているのでそちらを是非。

チャートアクションに話を戻すと、「Eastside」は実は全指標でダウンしているのですが、デジタル2指標が前週比7~11%のダウンに対しラジオエアプレイが同1%ダウンでとどまっていることがロングヒット、且つ他曲の衰退の合間に入り込めたといえます。

 

最新のトップ10はこちら。

[今週 (前週) 歌手名・曲名]

1位 (3位) ポスト・マローン & スウェイ・リー「Sunflower (Spider-Man: Into the Spider-Verse)」

2位 (1位) ホールジー「Without Me」

3位 (2位) アリアナ・グランデ「Thank U, Next」

4位 (4位) トラヴィス・スコット「Sicko Mode」

5位 (5位) パニック・アット・ザ・ディスコ「High Hopes」

6位 (6位) マシュメロ & バスティル「Happier」

7位 (7位) マルーン5 feat. カーディ・B「Girls Like You」

8位 (8位) リル・ベイビー & ガナ「Drip Too Hard」

9位 (11位) ベニー・ブランコ、ホールジー & カリード「Eastside」

10位 (9位) コダック・ブラック feat. トラヴィス・スコット & オフセット「Zeze」

全体的にピークを越えてしまっただろう曲が少なくないトップ10。「Eastside」は今回のトップ10入りを機に勢いが再燃するか、そして上位2強が投入した追加燃料が次週にまで活きているか…次週注目です。