イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

2018年下半期 社会的ヒット10曲を選んでみました

12月16日に放送した『わがままWAVE It's Cool!』(FMアップルウェーブ 日曜17時)では、DJのしょうごくんセレクトによる今年下半期話題の音楽総決算特集をお送りしました。お聴きくださった皆さん、ありがとうございます。

さて今回、このエントリーでは下半期に日本そして海外で話題になったと考える10曲を挙げてみます。私的な下半期邦楽ベストは近日中に発表するとして、社会的にヒットした&今後影響を与えるであろうという基準でなるべく客観的に判断してみました。なお上半期は下記に。

 

① 米津玄師「Flamingo」

今回は邦楽から。ビルボードジャパン年間ソングスチャートを制した「Lemon」に次ぐシングルでまたもチャートを制覇。どちらかといえばミニマムな音と、歌い方も含めたオリエンタルなエッセンスという相反する要素が絶妙にブレンドされた、まさに彼ならではの逸品。

 

星野源「アイデア

連続テレビ小説半分、青い。』主題歌というタイアップをきちんとわきまえて、2番で1番にはなかった陰を用意する心憎い演出。打ち込みという新基軸が2番にハマり、星野源さんの新章に出会えたかのよう。スタッフによるチャート上位進出のための施策も素晴らしく、未シングルCD曲で初となるビルボードジャパンソングスチャート連覇を達成。

 

宇多田ヒカル feat. XZT, Suboi, EK「Too Proud (L1 Remix)」

素晴らしいオリジナルアルバム『初恋』の中でも、現行ヒップホップで流行するトラップを大胆に、しかし極々自然に採り入れたアップ。リカット時にはアジアで活躍するラッパーを客演に迎え、音楽のみならず人種/文化的な多様性も提示。日に日々悪化するようにみえる世界情勢の中でこの姿勢は大事…と考えるのは大袈裟でしょうか。

 

あいみょん「今夜このまま」

徐々に浸透していく定額制音楽配信サービス(ストリーミング)で最も聴かれた歌手のひとり。『Mステ』→夏フェスを経てドラマ主題歌に抜擢されたこの曲は現在ロングヒット中。ラジオ番組DJのしょうごくんもこの曲を選び、ドラマの世界観と強く合致していると称賛。また音楽業界に詳しい先輩スタッフも、CDが売れていた時代ならばミリオンいったかもと話しており、『紅白』を経て大化けするか見どころ。

 

Mr. ChildrenHANABI

今年ナンバーワン映画となった『コード・ブルー』の主題歌として再浮上しロングヒット。デジタルのみのベストアルバムは5月に配信終了したものの、直後にこれまでの全作品をデジタル解禁したことでストリーミング中心にヒット。続くオリジナルアルバム『重力と呼吸』にはずみが付いたと言えます。旧譜が新譜への橋渡しになる手法、今後も増えてくる予感がします。

 

⑥ ドレイク「In My Feelings」

ここからは洋楽。今年の米ビルボードソングスチャートのうち29週もの長期首位を占めたのはドレイク。彼の曲の中で『Scorpion』リリース後に1位となったのが、数々のダンスチャレンジ(#InMyFeelingsCharange)を生んだこの曲。10週間首位を記録。

 

⑦ カーディ・B、バッド・バニー & J・バルヴィン「I Like It」

ビーフ、離婚、逮捕…等話題の絶えないお騒がせラッパーながら、メジャーデビュー1年ちょっとの間で既に客演含む3曲もの全米ナンバーワンヒットを獲得。近年盛り上がるラテンのエッセンスを採り入れたこの曲でも1位に。ビーフ相手のニッキー・ミナージュに、チャート上で大差をつけました。

 

アリアナ・グランデ「Thank U, Next」

アルバム『Sweetener』も高評価ながら、アルバム以上に人気なのがこの曲。現在までに米で5週間首位を記録し今後も更新の可能性大。この2年ほど、アリアナにとってはまさに激動の日々でしたが、4人の元カレの名を配したこの曲ではそれを乗り越える力強さと決意が示されています。ミュージックビデオのかわいらしさもまた魅力的。

 

マルーン5 feat. カーディ・B「Girls Like You」

この1年、エド・シーランとビヨンセ(もしくはアンドレア・ボチェッリ)、カミラ・カベロとケーン・ブラウン、ゼッドおよびグレイとマレン・モリス、ビービー・レクサとフロリダ・ジョージア・ライン等、"R&Bとヒップホップ"以外のコラボレーションが多数。その中でも全米1位を成し遂げたこの曲は最良の成功例かと。またカーディは先の曲でもラテンと組み、主演でも客演でも強い存在感を証明。

 

 

⑩ クイーン「Bohemian Rhapsody

同名映画のヒットは予想出来たとして、ここまでのヒットになるとは。ストリーミングで過去曲を聴きやすくなったことも相俟って世界各地のチャートで再登場、日本ではもうすぐトップ10入りの状態が続いています。アルバムもサウンドトラック含む複数作が日米で同時にトップ10入り。今後音楽業界はドキュメンタリー映画のみならず、史実を基にしながらエンタテインメントに昇華した作品が数多く登場するかもしれません。

 

 

日曜のラジオ番組で紹介された楽曲とは①、②、④、⑩が被ります。下半期はそこまでヒット曲が多くないのかもと思いつつ、映画を機に人気が再燃した⑤や⑩を踏まえれば、今後リバイバルヒットが更に増えるのではという気もします(し、それを主に支えるのがストリーミングですね)。また映画やドラマタイアップはやはり強く、映像作品の世界観をきちんと反映したものは高く支持されると実感です。

私的ベストと社会的ヒット曲、2つの観点で下半期ベストを選んでみると面白いかもしれません。