イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

ビルボードジャパンソングスチャート、2019年度チャートより”カラオケ指標”導入

驚きました。

『通信カラオケDAMを運営する株式会社第一興商と、JOYSOUNDなどを運営する株式会社エクシングから提供される、カラオケ歌唱回数を元に独自のポイントを付与した』(上記記事より)、”カラオケ指標”を次週発表分(12月10日付)より加えることで、ビルボードジャパンソングスチャートは8指標(シングルCDセールス・デジタルダウンロード・ストリーミング・ラジオエアプレイ・ルックアップ・Twitter・動画再生・カラオケ)となります。カラオケを導入した理由、意図に関しては上記記事をご参照ください。

 

個人的には、このカラオケ指標のウェイトが他指標に比べてどのくらいになるのか、良くも悪くも興味深く感じています。というのも。

11月15日付記事、同年1月1日から11月10日までが集計期間となるDAMの年間チャートでは、今年純然たる初登場を記録したのは年間首位を獲得した米津玄師「Lemon」を含めわずか5曲しかなく、中島みゆき「糸」(年間2位)やスキマスイッチ「奏(かなで)」(年間3位)などのスタンダードが残り続ける傾向にあります。となると、カラオケ指標の導入で、ビルボードジャパンソングスチャートにおいても昔から愛されてきた楽曲が残り続けるようになるわけです。カラオケ指標のウェイトが高ければ高いほどそうなると言えます。

(なお、現段階でJOYSOUNDの年間チャートはまだ発表されていません。)

これをどう捉えるか。悪く考えればキリがないですが、スタンダードが残りやすくなる新指標を採り入れてもなお新しい曲がロングヒットとなれば、その曲は今もこの先も愛され続けるいわば社会的なヒット曲になったと言え、となるとその曲やビルボードジャパンソングスチャートが、たとえばこの報道における最上位のコメントに十分に反論出来る証拠となるように思います。即ち、ここ数年耳に残る歌がなくなったのではなく、”受け手が自らの柔軟性の低さに気付き、自らを変えることこそ必要”だということ。これは前からここで言い続けていることですが、そのエントリーを再掲します。

ちなみにカラオケ指標はおそらく、8つの指標のうち最も上昇するまでに時間がかかるものと考えられ、米ビルボードにおけるラジオエアプレイに似た動きと推察されますが、米ラジオエアプレイよりもずっと残りやすいとも言えるでしょう。

 

次週発表の新年度第1回目のソングスチャート、注目です。