イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

V6「Crazy Rays」は今年屈指のポップソングだと思う

昨日は、ジャニーズ事務所がリリースした楽曲の中でKing & Prince「シンデレラガール」がビルボードジャパンソングスチャートでとりわけ高得点を叩き出していることを書きました。最終的には事務所へのデジタル解禁切望という個人的な思いを綴る形になりましたが。

歌詞については、上記エントリー内にある菊地成孔氏の考察が面白いので是非ご参照ください。他方、作曲に関してもサビ前半の”いつになっても”と”幾つになっても”、それぞれの”な”の音階が異なる(後者が上がる)ことで、全ての女性(シンデレラガール)がよりときめく構成になっているのが見事だと思うんですよね。

この、サビの繰り返しにおいてひとひねり加えているという構成で、遅ればせながら今になってハマっているのがV6「Crazy Rays」なのです。

サビ前半の”Daily Cage”と”Groovin' Step”でも、「シンデレラガール」同様に後者において音階が上がっており、サビ後半にスムーズに移行する役割を果たしているように感じます。

これだけでも巧いのですが、この曲にはR&BやPopファンにはたまらない展開が。まずはイントロがマイケル・ジャクソンの特大ヒット「Bad」を想起。

その後Aメロに入るとベースがブギーな展開に。ここ数年の80年代を意識したR&Bを彷彿とさせ、たとえばEDMを代表するDJ/プロデューサーのカルヴィン・ハリスが昨年リリースしたR&B作『Funk Wav Bounces Vol.1』の持つウキウキ感が踏襲されたかのよう。

そしてサビはR&Bからポップスへスムーズに移行…メロディの展開が嵐「きっと大丈夫」っぽくてポップスの王道だなあと実感。ウキウキ感を高めるベース、キラキラ感溢れるシンセ、そしてワクワク感を煽るホーンセクションのバランスも見事で、最終的にはポップスに見事に着地を決めています。

嵐が素晴らしい作家陣によって現代ポップスの王道を行くのだとすれば、V6は海外の流行を採り入れる等チャレンジャーながら最終的にはポップスに成る曲を創るのに長けているんだよなあ…と、ザ・ウィークエンドを彷彿とさせる「Can't Get Enough」(2017)を思い出し、V6の音楽制作チームの素晴らしさに唸りました。「Can't Get Enough」については以前記載していますのでそちらも是非。

 

惜しむらくは、アイドルソングと括らずとも素晴らしい楽曲が、ビルボードジャパンソングスチャートでは早々にランクダウンしている件。昨日のブログエントリー(このエントリーの冒頭にリンクを貼付)にジャニーズ事務所所属歌手の今年のシングル曲におけるチャートアクションを載せましたが、非常に残念です。自分もリリースのタイミングでこの曲の好さに気づけず紹介出来なかったのが情けない限りですが、彼らの音楽性の面白さをもっと推していけば、V6の音楽性の豊かさにハマる人が増えるんじゃないかと思っています。