(※追記(9月27日):”総合で1位になりながらルックアップが首位を取れなかった週における、ルックアップ指標の首位曲”に漏れがあり、追記しました。大変失礼いたしました。)
昨日は、今冬変わるオリコンランキングについて、複合指標化しても"売上ランキング"の側面が変わらず強いのでは?という疑問を記載しました。
しかしながら、自分がオリコン以上に社会の流行の鑑となっていると考えているビルボードジャパンソングスチャートについて、シングルCDセールス指標に係数という概念(上記ブログにて記載しました)が用いられたとしても、同指標の強さが大きく影響するのです。今年度(2017年11月27日以降)のビルボードジャパンソングスチャートにおける首位獲得曲を下記に記載してみます。また、総合チャートでの首位獲得曲における、シングルCDセールスとルックアップについてもチェックしてみましょう。ちなみにルックアップについてはつい先日記載しています。
先週木曜のブログでは、最新のビルボードジャパンソングスチャートにおけるシングルCDセールス上位5曲(K-Popを含め、いずれもアイドル曲)を取り上げ、首位を獲得した曲と他との差について【ルックアップの順位の差】【シングルCDセールスに頼りすぎていること】が理由と書きました。それを踏まえてのルックアップ掲載となります。
・ビルボードジャパン2018年度週間首位獲得曲一覧
(CD:シングルCDセールス順位、LU:ルックアップ順位
[-]:ランキング圏外、ブランク:カウント対象外
日付 1位曲 CD LU 2017/12/11 Kis-My-Ft2「赤い果実」 1 2 2017/12/18 BTS「MIC Drop」 1 2 2017/12/25 三代目J Soul Brothers「J.S.B. HAPPINESS」 1 1 2018/1/1 Hey!Say!JUMP「White Love」 1 1 2018/1/8 NMB48「ワロタピーポー」 1 4 2018/1/15 安室奈美恵「Hero」 55 89 2018/1/22 SKE48「無意識の色」 1 2 2018/1/29 NEWS「LPS」 1 1 2018/2/5 KinKi Kids「Topaz Love」 1 1 2018/2/12 STU48「暗闇」 1 6 2018/2/19 TWICE「Candy Pop」 1 1 2018/2/26 Hey!Say!JUMP「マエヲムケ」 1 1 2018/3/5 嵐「Find The Answer」 1 1 2018/3/12 星野源「ドラえもん」 1 1 2018/3/19 欅坂46「ガラスを割れ!」 1 1 2018/3/26 AKB48「ジャーバージャ」 1 4 2018/4/2 米津玄師「Lemon」 2 2 2018/4/9 米津玄師「Lemon」 6 1 2018/4/16 NMB48「欲望者」 1 6 2018/4/23 NGT48「春はどこから来るのか?」 1 8 2018/4/30 KAT-TUN「Ask Yourself」 1 2 2018/5/7 乃木坂46「シンクロニシティ」 1 1 2018/5/14 HKT48「早送りカレンダー」 1 11 2018/5/21 BOYS AND MEN「進化理論」 1 - 2018/5/28 TWICE「Wake Me Up」 1 3 2018/6/4 King & Prince「シンデレラガール」 1 1 2018/6/11 AKB48「Teacher Teacher」 1 2 2018/6/18 Sexy Zone「イノセントデイズ」 1 1 2018/6/25 モーニング娘。'18「Are you Happy?」 1 11 2018/7/2 GOT7「THE New Era」 2 22 2018/7/9 NEWS「BLUE」 1 1 2018/7/16 SKE48「いきなりパンチライン」 1 4 2018/7/23 Kis-My-Ft2「L.O.V.E.」 1 1 2018/7/30 KEN☆Tackey「逆転ラバーズ」 1 1 2018/8/6 嵐「夏疾風」 1 1 2018/8/13 Hey!Say!JUMP「COSMIC☆HUMAN」 1 1 2018/8/20 乃木坂46「ジコチューで行こう!」 1 1 2018/8/27 欅坂46「アンビバレント」 1 1 2018/9/3 星野源「アイデア」 2018/9/10 星野源「アイデア」 2018/9/17 関ジャニ∞「ここに」 1 1 2018/9/24 NEWS「生きろ」 1 1
1月15日付の安室奈美恵「Hero」は、集計期間前日の『NHK紅白歌合戦』(NHK総合)効果でデジタルダウンロードとストリーミングが躍進した結果。また星野源「アイデア」はシングルCD未リリースとなります。
ここまでの42週分において、シングルCDセールスで首位を獲得し総合でも1位となったのは合計36週。残り6週は先述した安室奈美恵「Hero」(1週)、星野源「アイデア」(2週)に加え、米津玄師「Lemon」(2週)、GOT7「THE New Era」(1週)。そして36週のうち星野源「ドラえもん」および三代目J Soul Brothers from EXILE TRIBE「J.S.B. HAPPINESS」を除けばアイドルおよびK-Popで占められており、シングルCDセールスに長けたアイドルがやはり強いということが解ります。
では総合で1位になりながらルックアップが首位を取れなかった週における、ルックアップ指標の首位曲をみてみると。
12/11、12/18:嵐「Doors~勇気の軌跡~」
※ドラマ『先に生まれただけの僕』(日本テレビ)主題歌
1/8:Hey!Say!JUMP「White Love」
※映画『未成年だけどコドモじゃない』主題歌
1/15、1/22:back number「瞬き」
※映画『8年越しの花嫁 奇跡の実話』主題歌
2/12:KinKi Kids『Topaz Love』
※アニメ『タイムボカン 逆襲の三悪人』(読売テレビ・日本テレビ)エンディングテーマ
3/26、4/16、4/23、4/30、5/14、5/21
:米津玄師「Lemon」
※ドラマ『アンナチュラル』(TBS)主題歌
※映画『ドラえもん のび太の宝島』主題歌
5/28:刀剣男士 formation of つはもの「BE IN SIGHT」
※ミュージカル『刀剣男士』使用曲
6/11、6/25、7/2、7/16
:King & Prince「シンデレラガール」
※ドラマ『花のち晴れ~花男 Next Season~』(TBS)主題歌
9/3、9/10:back number「大不正解」
※映画『銀魂2 掟は破るためにこそある』主題歌
全曲が映像作品のタイアップなんですよね。そしてその大半がロングヒットとなっています。とりわけ米津玄師「Lemon」やKing & Prince「シンデレラガール」が、不連続ながら長期に渡り首位を獲得、「シンデレラガール」はジャニーズ事務所所属歌手の中でも特大ヒットとなっているため、今年の『NHK紅白歌合戦』出場は確実だというのが私見です。他にもタイアップ曲が多く入っているということは、ロングヒットの鍵はタイアップ曲、それも良質な作品と見事にマッチした点にあるのかもしれません。ルックアップの多さはCDレンタルの多さでもあり、その歌手のコアなファンじゃない方がタイアップ先や使用曲の評判を聞きつけ、借りた結果と言えるでしょう。そしてこれは主観の域を超えませんが、もしかしたら総合1位獲得曲よりこれらの曲のほうが(一部被っている曲はありますが)、浸透度は高いのかもしれません。総合チャートで首位を獲得したアイドル曲で翌週もキープした作品が皆無であり、余計にそう思うのです。
今週様々な視点からビルボードジャパンのソングスチャートをみてきましたが、真のヒットを見極めるには【縦軸:各週のチャート推移】と【横軸:その週の各指標順位・構成比】の両軸をチェックする必要があるのです。
チャートにおいては、首位を獲得しさらにロングヒットするというのが最も理想的な流れではありますが、ストリーミングがまだまだ発展途上であり、且つデジタルダウンロードよりもシングルCDセールスが未だ強いであろう日本では、頼りすぎていると言えどシングルCDセールスが大きな柱になっていることは間違いありません。ただデータをよく見れば、その週の上位の動向だけでは見えてこないところがあるわけで、より広い視野を持ってチャートをチェックしないといけません。尤もビルボードジャパンのチャートは、社会の流行の鑑になるべく先述したシングルCDセールスへの係数をはじめ適宜見直しを行っており、デジタルダウンロードやストリーミングがより強くなれば、それらとシングルCDセールスとのウェイトも変わってくるでしょう。そうなったとき、アイドル曲が上位に進出するため、シングルCDセールスに特化した戦略を中長期的に見直す必要があるものと考えます。レコード会社そして芸能事務所の考え方が変わらないと、最終的にはアイドル自身が生き残ること自体が難しくなると言えるかもしれません。