イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

(追記あり) ドレイクも不利に? 米ビルボード、ストリーミング算出方法を7月13日付分から変更

(※追記(2022年9月30日16時54分):ドレイク『Scorpion』のリリースは正式には2018年6月29日であり、こちらの認識ミスでしたが、その訂正に関して記載を失念しておりました。コメントにて失念等をご指摘いただいたことに感謝申し上げ、そして心よりお詫び申し上げます。)

 

 

 

チャートアクションを確認する身としては、とても大きなニュースが飛び込んできました。

この算出方法の変更、実は昨年秋にアナウンスされていたものでした。

ブログでは『来年(”来年度”なのか来年なのかは不明ですが)、一部変更』と書きましたが、結果的には『2018年6月29日から7月5日までの週の集計から変更され、7月13日付チャートから反映』(上記ビルボードジャパンの記事より)となりました。

 

変更の内容はこちら。

ニールセンの2018年第3四半期より、有料配信サービス(Apple MusicやAmazon Musicなど)、または有料/広告支援ハイブリッド・サービスにおける有料プラン(SpotifySoundcloudなど)での再生は、広告支援サービス(YouTubeなど)や有料/広告支援ハイブリッド・サービスにおける無料配信より比重が大きくなる。

ソング・チャート“Hot 100”におけるストリーミング・データの算出方法については、2018年からは有料(1再生=1ユニット)、広告支援(1再生=2/3ユニット)、プログラム配信(いわゆるプレイリスト。1再生=1/2ユニット)に分けて計算する。

米ビルボード・チャート、ストリーミング算出方法を6/29より変更 | Daily News | Billboard JAPAN(5月2日付)より

プログラム配信とはPandora Radio等を指します。これまでは有料/無料に関係なく合計再生数がそのままストリーミング指標の数値となっていたのですが、今後は"ユニット"単位とし、有料と無料で分けることになりました。ストレートにいえば、ユーザーが支払ったお金が歌手に対し、より明確に支払われたほうがチャートに反映されますよということ。

そしてこのストリーミングの変更はアルバムチャートにも。

アルバム・チャート“Billboard 200”では、オンデマンド配信を有料と広告支援の2種類に分けて算出する。有料オーディオ配信は1,250再生=1アルバム・ユニット、広告支援オーディオ配信は3,750再生=1アルバム・ユニットとなる。有料再生と同等のサービスを受けられるトライアル期間中の再生は有料としてカウントされる。“Billboard 200”ではこれまで通り、動画再生とプログラム・オーディオ配信はカウントされないが、“Hot 100”ではカウントされている。

米ビルボード・チャート、ストリーミング算出方法を6/29より変更 | Daily News | Billboard JAPAN(5月2日付)より

これまでは有料/無料(広告支援オーディオ)に限らず、1500再生=1ユニットで換算されていました。無料(広告支援オーディオ)で聴く場合はこれまでの2.5倍聴かないと以前と同等になりませんが、逆に有料ストリーミングで聴く場合はこれまでの6分の5となり、よりダイレクトにストリーミングに反映され、ソングスチャート同様にユーザーによる支払が大きな意味を持つ形となりました。アルバムチャートは今後、2種類のストリーミング算出分に、曲単位での購入分(10回分=1ユニット)、そしてアルバム実売分(1枚=1ユニット)を合算した形となります。

 

さて、このストリーミング改編ですが個人的には嬉しく思います。なぜなら昨日このようなことを書いたゆえ。

トップ10内に3曲を送り込んだJ・コールですが、その3曲だけではありませんでした。同週のアルバムチャートで首位を獲得した『KOD』収録の全12曲を、ソングスチャートトップ100内に送り込んできたのです。

(中略)

とはいえ12曲中3曲はイントロ、アウトロおよびインタールードであり、これも含めていいものか...と思うのが私見だったり。

今の米ソングスチャートの見方、そしてダリアス・ラッカーと現在のフーティー・アンド・ザ・ブロウフィッシュ(5月2日付)より

音楽を無料で聴くことが出来るのは、特に最も多くストリーミングを使用する若年層にとって嬉しいことですが、無料有りきという考えが(言葉は悪いですが)横行し、一方でストリーミングが有料/無料で差別化されないと、今回のJ・コールのようなイントロ等のチャートインが発生し違和感を覚えるわけです。ゆえに今回の改正で、今後はこういう事態が発生しにくくなるかと。昨年のセールスとストリーミングとの動向、勢いの差(2017年のアメリカでもっとも人気のあったジャンルは「ヒップホップ/R&B」 | bmr(1月4日付)等参照)を踏まえれば、今後ますます発展するであろうストリーミングを一緒くたのままにするのは乱暴だと考えており、今回のビルボードの算出方法、いわばポリシー変更を支持します。しかも現状において、『“Hot 100”指標データの重要性はストリーミングが最も高く、次に全ジャンル・ラジオ・エアプレイ、そしてデジタル・ソング・セールスと続く』(米ビルボード・チャート、ストリーミング算出方法を6/29より変更 | Daily News | Billboard JAPAN(5月2日付)より)とあり、ストリーミング比重が最大になっているため尚の事、なのです。

(と、ここまで書くとあたかもヒップホップを敵視しているかのように捉えられるかもしれませんがそうではありません。チャートアクションの鈍化(といえるかもしれない今回のポリシー変更)と、チャートの上昇には対価の発生がこれまで以上に重要となることを対になって知らせれば、音楽を聴く者の"支払う"ことへの意識が変わってくるはず。そのチャートポリシー変更後でもヒップホップが今以上に台頭したならばそれこそ"本物"でしょう。)

 

最後に。表題の件ですが、ドレイクが6月28日にニューアルバム『Scorpion』をリリースする模様。となると、発売日(木曜)の翌日から今回のポリシー変更の期間に突入するわけです。

アルバムからの先行シングルと思しき「God's Plan」がストリーミングで週間1億超えを達成するなど、特にストリーミングでの強さが目立ちます(詳細は上記ブログエントリー等に記載。なお、『Scorpion』のトラックリストが未定のため、「God's Plan」および「Nice For What」が収録されるかは不明です)。ドレイクを聴く方の有料/無料サービスの比率が、アルバム、そしてソングスチャートにも大きく影響するでしょう。とはいいつつ、先行曲の勢いを踏まえれば全曲ソングスチャートトップ100入りする可能性は高い気がするのですが。推移を見守っていこうと思います。

 

※ 追記 (5月4日)

コメント欄にて、ドレイクのアルバムは6月リリースとは言及されど28日ではない、との指摘をいただきました。たしかに"Twenty Eighteen"という表記、そして28日が木曜で通常リリースの金曜とは異なるため違和感は拭えませんが、SNSの情報を踏まえるに6月28日が現状では最も適切ではないかと考え記載した次第です。誤っていた際は訂正いたします。

 

 

※追記(2022年9月30日16時54分):ドレイク『Scorpion』のリリースは正式には2018年6月29日であり、こちらの認識ミスでしたが、その訂正に関して記載を失念しておりました。コメントにて失念等をご指摘いただいたことに感謝申し上げ、そして心よりお詫び申し上げます。