ここ最近のR&Bや、R&Bの流れを汲む作品に目立つのが、大御所歌手の起用。それも同時多発的に行ってくるのだから驚かされます。この春発売の作品を例に取ってみると。
・ジャネル・モネイ『Dirty Computer』(4月27日発売)
先行シングルは、亡きプリンスから助言を受けた「Make Me Feel」でした。
そして驚くことに、冒頭を飾るタイトルトラックには、あのブライアン・ウィルソンが参加。
クレジットには"Background Empathic Choir Vocals"と記載。Empathicとは共感できる、親身な、という意味。幾重にも重なるコーラスは無機質なようでいてぬくもりが感じられるかのようです。
・カリ・ウチース『Isolation』(4月6日発売、27日フィジカル化)
先行シングルとなった「After The Storm」にはタイラー・ザ・クリエイターに加えて、ブーツィー・コリンズが客演で参加。
尤もこちらはブーツィーのアルバムにカリが参加したことのお返しかもしれません。ソウル色の強い楽曲に彩りを添えています。
・トム・ミッシュ『Geography』(4月6日発売)
音楽ジャーナリストの高橋芳朗氏がラジオ番組で語っていて、興味を抱いたのがトム・ミッシュ。radikoタイムフリーは期限切れとなっているのですが後に文字起こしされています。
文字起こしがアップされましたー。Char「ふるえて眠れ」で堀井美香アナウンサー悶絶! #so954 |洋楽 vs. 邦楽~初夏に聴きたい爽やか系ギタリスト対決(高橋芳朗の洋楽コラム) https://t.co/do4SVYAIuv
— 高橋芳朗 (@ysak0406) 2018年4月15日
また、こちらでアルバムについて詳細な解説が。
トム・ミッシュについてはこちらの拙稿を! #so954 |NulbarichやSuchmosファンもド真ん中! UK大型新人トム・ミッシュの音楽を高橋芳朗が徹底解説 | COLUMN - Mikiki https://t.co/Ny2knJunBk
— 高橋芳朗 (@ysak0406) 2018年4月13日
アルバムに収められ、日本のラジオ局でもかかる機会が多いのが「It Runs Through Me」。なんとアメリカの老舗ヒップホップグループ、デ・ラ・ソウルをフィーチャーしているのです。この人選の好さたるや。
・チャーリー・プース『Voicenotes』(5月11日発売予定)
4ヶ月の延期を経て来月いよいよリリースされるアルバムですが、今年冒頭の延期アナウンス直後に発表されたのがこの曲。"もう少し待ってて"というチャーリー・プースなりの配慮なのでしょうが、あのボーイズIIメンと共演した美しいナンバーを聴かされると、あと4ヶ月待てというのはあまりにも酷なことだと思ったものです。ようやくその4ヶ月が終わろうとしています。
アルバムには、シンガーソングライターのジェームス・テイラーを迎えた「Change」も収録。この曲の"意義"は下記リンク先に。
プリンス、ブライアン・ウィルソン、ブーツィー・コリンズ、デ・ラ・ソウル、ボーイズIIメンにジェームス・テイラー...いずれも四半世紀以上活躍する方ばかり。迎え入れた側は新人も含まれますが、彼らの強い尊敬の念が大御所を呼び寄せる力になったのかもしれません。今回動画で紹介した曲は、ジャネル・モネイのタイトルトラックを除きいずれもアルバムからの先行曲となっているため、大御所歌手の知名度を借りて...と揶揄されるかもしれませんが、いずれも良い出来だけにいずれはその軽口も終息するかと。むしろ大御所のサポートを受けてより多くの方に広まって欲しいと願うばかりです。