イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

再来週発表の12月23日付米ビルボードチャート、果たして風は吹くか?

3週待ちました。

上記記事における『発売初週の販売形態はCDとiTunesでのバンドル配信に限定』とありますがこれは、11月10日のアルバム発売”直前”にストリーミングの解禁を見送ったゆえ。セールスに集中させ初週ミリオンを達成させるというのが目標としてあったと考えられ、現にミリオンは達成していますが2週目のセールスは前作より大きく失速しています。

当初はアルバム発売の翌週にストリーミングを解禁するという噂もありましたが(テイラー・スウィフト、新作の「ストリーミング解禁」は1週間後に | Forbes JAPAN(11月11日付)参照)、結果3週かかってしまいました。推測の域を出ませんが、”初週セールス好調につきもう少し先延ばししようとしたが2週目の結果が予想以上に失速したことが今週始めに判明したので金曜解禁に踏み切った”のではないかと。現在の米ビルボードアルバムチャートは”ユニット”が単位となっており、アルバムセールス(CDおよびダウンロード)に単曲ダウンロードのアルバム換算分、そして単曲ストリーミングのアルバム換算分を加えた”ユニット”が基準値となっています。彼女は今後、ユニットを評価基準に据えたのかもしれませんし、逆に言えばセールスのみを追いかけることを諦めたのではないかと。ちなみにチャートにおけるストリーミング集計期間は金曜スタートとなっているため、12月23日付チャートでは丸々1週間分のストリーミングポイントが加算されます。

 

そしてソングスチャートではこちらが気になるところ。

今週発表された12月9日付ソングスチャートで5位だったエド・シーラン「Perfect」。クリスマスを思わせるミュージックビデオでクリスマスに向けて伸びていくのではと予想していたところに、ビヨンセとのデュエットバージョンが金曜に発表されました。こちらも1週間フルのストリーミング、およびダウンロードポイントが12月23日付チャートに加算されます。

ソングスチャートはデジタルダウンロードとストリーミング、ラジオエアプレイの3つの指標から構成されますが、別バージョンやリミックスもオリジナルバージョンに加算されます。それによってチャートを駆け上がる例は数多く、ルイス・フォンシ&ダディー・ヤンキー「Despacito」ではジャスティン・ビーバーが加わったリミックスバージョンを発表したことで16週もの1位を獲得したり、ブルーノ・マーズは「That's What I Like」に4つのリミックスバージョンを用意したことでそのポイントも加算されて1位に到達しています。つまりは歌手側、レコード会社側の作戦が功を奏したのです。なおアルバムにおいてはほとんどの場合、ストリーミングも同日解禁となるのですが、今回のテイラー・スウィフト『Reputation』のずらし手法は明らかな”作戦”でしょう。

無論、すべての作戦が狙い通りに行くとは限らず、最終的には曲の良さが分かれ目になるとは思いますが、絶妙なタイミングで仕掛けを投じれば最大限の効果が発揮されます。

 

今回紹介したテイラー・スウィフト、そしてエド・シーラン...果たして上手くいくでしょうか。再来週発表される12月23日付チャートを楽しみに待ちましょう。