米ビルボードソングスチャートを定点観測。
現地時間の10月2日月曜に発表された、10月14日付最新チャート。先週初の頂点に上り詰めたカーディ・B「Bodak Yellow (Money Moves)」が首位をキープ。上位6曲が凪の状態の中、デミ・ロヴァート「Sorry Not Sorry」が10位にランクインしました。
記事は下記に。
.@IAmCardiB's "Bodak Yellow" tops the #Hot100 for a second week & @ddlovato hits the top 10 with "Sorry Not Sorry" https://t.co/S1onOtnr1r pic.twitter.com/acu459xdGl
— billboard (@billboard) 2017年10月2日
そしてトップ10はこちら。
2週目の首位を獲得した「Bodak Yellow (Money Moves)」はストリーミングが前週比3%上昇し同指標で首位の座に返り咲いたほか、前週iTunes Storeでの安価販売およびコダック・ブラックを招聘した新たなリミックスの投入を行ったことの反動でデジタルダウンロードが急激に落ち込むのでは?という予想を覆し、同指標では前週比わずか1%のダウンにとどめたことも首位キープの要因。ラジオエアプレイは堅調な伸びを示し前週比6%上昇。曲にはもう少し伸びしろがあると言えるでしょう。
先週2位に初登場を果たしたポスト・マローン feat. 21サヴェージ「Rockstar」も思ったより落ち込まなかった印象。デジタルダウンロードはさすがに前週比46%の大幅減となりましたがストリーミングは同3%ダウンと小幅にとどめ、他方ラジオエアプレイでは同240%大幅アップを果たしました。一方、デジタルダウンロードが伸びたのがテイラー・スウィフト「Look What You Made Me Do」。前週比12%上昇したその要因はiTunes Storeでの安価販売が功を奏したため。いや、逆に安価販売を仕掛けても12%しか伸びなかったとも言えるかもしれず、またストリーミングは同19%ダウンと二桁台ものダウンとなっていることから次週トップ3を死守出来るかは微妙なところです。
ポルトガル・ザ・マン「Feel It Still」が徐々に勢いを増しています。先週の10位から3ランクアップし7位につけたこの曲はラジオエアプレイで前週比12%上昇し1億回目前に迫っています。この曲、イマジン・ドラゴンズ「Believer」(今週8位)を総合チャートで上回ったのみならず、ロックソングスチャートでも「Believer」を破って首位に到達。もし「Feel It Still」が上回ってなかったならば、「Believer」はロックソングスチャートで30週目の首位となり、トゥエンティ・ワン・パイロッツ「Heathens」が昨年から今年にかけて記録した同チャートでの首位獲得週数記録に並ぶところだったのですが...しかしそのイマジン・ドラゴンズ、次のシングル「Thunder」が総合チャートで17位に上昇しグループとしての勢いは止まっていません。この伸び、マイクロソフト社のCMソングに同曲が起用されているため。
実はこの「Thunder」が今週デジタルダウンロード指標での首位を獲得(売り上げは65000)。彼らにとって同指標で初の1位になっただけではなく、ロック系での同指標首位はロード「Royals」以来およそ4年ぶりとのこと。ロック”バンド”との括りになると、トレイン「Hey, Soul Sister」以来7年半ぶりという快挙。ロック系がデジタル部門に強くない中でイマジン・ドラゴンズの存在は実に大きいですね(ちなみに「Believer」および「Radioactive」(2013)は同指標最高2位)。なお、最新”ではない”曲がデジタルダウンロードでトップに立った例では、プリンス&ザ・レヴォルーション「Purple Rain」が昨年、プリンスの死去に伴い昨年春に2週1位を獲得したということを書き添えておきます(ビルボードの記事でも分けて記載されています)。
10位にランクインしたのはデミ・ロヴァート「Sorry Not Sorry」。
デジタルダウンロード6位、ストリーミング12位、ラジオエアプレイ20位といずれの指標もバランスがよいのがこの曲。デミにとってはジョー・ジョナスとの「This Is Me」(2008 最高9位)、「Skyscraper」(2011 10位)、「Heart Attack」(2013 10位)に次ぐ4曲目のトップ10入り。この曲をオープニングに据えたオリジナルアルバム『Tell Me You Love Me』が先月末にリリースされ次週のアルバムチャートにランクインすることから、この曲は次週、デジタルダウンロードは下がることが予想される(アルバム全体を購入した場合加算対象外)一方、ラジオエアプレイは伸びることが予想され、デミにとってソングスチャートでのキャリア最高位を更新する可能性もあります。
なおここまで書いていませんでしたが、ラジオエアプレイ指標での首位は今週デミ・ロヴァートと入れ替わりトップ10落ちしたチャーリー・プース「Attention」(総合11位)。同指標で4週目の首位を獲得したもののその数値は1億1600万回。自分がソングスチャート速報を書きはじめて以降、1億2000万回割れというのはあまり見たことがありません。デジタルダウンロードもトップが10万割れであることを踏まえればちょっと全体的に数字が低めといえるかもしれず、この凪の状態にちょっとした嵐が巻き起こればすぐにでもチャートは大きく動くかもしれません。個人的にはポルトガル・ザ・マンがかき回してくれることを期待したいのですが、ストリーミングがあまりにも弱く同指標35位、前週比1%しか伸びていないのが気掛かり。ロック系のデジタル部門、とりわけストリーミングの弱さが同ジャンル全体の課題と言えるでしょう。