最新9月16日付の米ビルボードダンスクラブソングスチャート。以前紹介したデボラ・コックス「Let The World Be Ours Tonight」が遂に首位に立った今週、最も勢いのあるチャートアクションを見せたのが、10位にジャンプアップしたハイファイ・ショーンによる「Testify!」。客演シンガーには、あのクリスタル・ウォーターズが起用されているのです。
ハイファイ・ショーンは、1980年代後半から90年代前半まで活動していたダンスポップバンド、スープ・ドラゴンズのフロントマンだったショーン・ディキンソンによる(ソロ?)ユニット。昨秋リリースした全編客演ありの楽曲集、その名も『Ft.』にはオノ・ヨーコやブーツィー・コリンズといった大御所も参加しています。
その『Ft.』のオープニングトラックを託されたのがクリスタル・ウォーターズ。やはりなんといっても「Gypsy Woman (She's Homeless)」を思い出す人は多いでしょう。
トラックと相俟って不穏に聴こえる声、そして特徴的な歌詞で世界中を席巻し、アメリカでは総合ソングスチャートで8位を記録(勿論ダンスクラブソングスチャートでは1位)。その後堅実にキャリアを積み重ねており、この5年間に絞ってもダンスクラブソングスチャートでは3曲もの1位を獲得しているというのですから驚きです。
クラブ界では最早レジェンドの存在ゆえ、若手が相次いで彼女を敬意込みで起用したいと思っているのかもしれません。尤もショーン・ディキンソンはベテランではありますが、”ハイファイ・ショーン”名義では若手中の若手。自身の名を広めたい思いも、そしてもしかしたら私生活で仲の良い彼女を起用したかったという思いもあったのかもしれませんね。
この「Testify!」、音そしてミュージックビデオ共にゴスペル的なのが個人的に大好きなのです。生ピアノやハンドクラップの取り入れ、そしてキリスト教の洗礼の映像...ゴスペルを歌い、また入信の場に居合わせたこともある身としてはより強く響いた作品になりました。
ダンスサウンドのレジェンドたるクリスタル・ウォーターズにゴスペル?と思う方は少なくないかもしれませんが、実はつながりが。「Gypsy Woman (She's Homeless)」は以前、ゴスペルにサンプリングされているんですよね...まさか「Testify!」を機にクリスタル・ウォーターズとゴスペルがより強固につながるとは!と、その発見に驚いています。
(上記で一度サンプリングについて紹介したのですが、主題は美川憲一さんのほうでした...。)