このイベントが行われたこと、ましてやこのバレエダンサーについて、恥ずかしながら知らなかったのですが、出演した作品を観て惹き込まれました。
セルゲイ・ポルーニンがダンスを披露した際のBGMは、アイルランド出身のホージアによる「Take Me To Church」。全英、全米共に最高2位の大ヒットとなった作品ですが、オリジナルのミュージックビデオはロシアで実際にあったというアンチLGBTによる迫害事件をモチーフに制作されており、そこにはホージアのアンチLGBTに対する批判が表れているといえます。
歌詞も踏まえ、この曲がヒットした理由については下記のブログが解りやすいと思うゆえ、勝手ながら取り上げさせていただきます。
LGBTというワードが浸透し、セクシャルマイノリティに対しての認識は高まっているものと思う一方、「Take Me To Church」のビデオの元となった事件や、未だ根強い差別主義...それも政治の長たる人間に多く見られる極端な思考がある限り、差別がなくなるのは遠い先のことかもしれません。が、例えばLGBTを快く思わない方の中で、セルゲイ・ポルーニンの美しきダンスに魅了されるうちにBGMが内包するアンチLGBTへの批判を無意識のうちに理解し、自然とLGBTへの差別が解消されることだってあるでしょう。公開中の映画『ムーンライト』も同様で、美しい作品に触れることで心が勝手に、自発的に受け入れていくことは有り得る話です。こういう美しいものがどんどん生まれてくるといいなと思います。
さて、LGBTに限らず、"自分が好ましく思わない存在"について、ズバッと言い切った素晴らしいツイートがありますので、勝手ながら紹介させていただきます。
そういえば、夕方みた、フランスのドキュメンタリーで「どうして自分に何の利害関係もないこと(同性婚とか)に反対するのか? 自分が無視されている蔑ろにされていると感じているから、他人の権利が拡大することで損をするように思ってしまう」(大意)と言っていた。それ、どこでもそうだねえ
— むいむい (@seanb_beta) 2017年4月25日
アンチLGBTについては宗教的にアウトだから成立するという声を聞きますが、たとえばキリスト教でも様々な教派が存在します。
保守派の教派では同性愛は罪と謳いますが、個人的な考えとして、聖書を勝手にそのように解釈した、その解釈の仕方が問題ではないかと思うのです。そしてその解釈の元には、解釈した側に"他人の権力が拡大することで損をする"という上記ツイートの考え方が宿っているのかもしれません。これはかなり邪推ではあるのですが。
自分に冷静になってまた自己を客観視して、心の中に損得や嫌いという物差し、感情が横行してやいないか...ということを一人ひとりがきっちり考えないといけないはずです。宗教のような心を寄り添わせるもの、絶対的と考える存在に対し冷静に考えることは難しいかもしれませんが、それだって必要なことでしょう。そうやって立ち止まることが、内在する差別の芽を摘む第一歩だと考えます。