ひと聴き惚れしました。
アリ・テナント 『Get Loved』
— Mikiki 音楽レヴューサイト (@mikiki_tokyo_jp) 2017年4月7日
王道R&Bを英国アーバン~ポップ職人ならではの経験値で再現した20年ぶり新作(bounceレヴュー) https://t.co/GkIaLJUgvh pic.twitter.com/gATcKLoKqN
強靭でいてしなやかな声、2000年代前半のR&Bを思わせるトラック満載、そしてなによりあのアリが復活なのですから!(そんな自分は恥ずかしながら、先月発行されたbounceを読むまでこの復活劇を知りませんでしたが。)
そのアリとは『98年に好盤『Crucial』を残したロンドンのシンガー』のこと(『』内は上記リンク先より)。アルバムの冒頭を飾る「Love Letters」はこの時期に特に合う逸品…ですがなぜかYouTubeにリンク先がないので、ここにこっそり載せておきます。
ちなみに自分が持っているアリ(・テナント)のCDは下記に。
左上が『Crucial』(1998)、右上が今回の『Get Loved』(2017)。そして下がポニーキャニオンからリリースされたインディソウルのコンピレーションアルバム(2001)。その2曲目に、『Crucial』の後にメジャーから離れた彼が2000~2001年に放った「Do Your Thing (Glen Sun Original Mix)」が収められています。こちらも凄く好きな曲だったり。
リミックス表記はないものの、コンピレーションに収録されているのはこのバージョン。メリサ・モーガン「Fool's Paradise」を用いた曲で、当時のアリの声には弾ける感じが強く残っています。
あれから16年…となると、アリの歌声に変化が見られるのは当然といえば当然かもしれませんが、歌声が衰えるどころかより強靭に、そして塩辛くなったゆえに深みが増したのは、彼がソングライトを手掛けるようになり常に音楽業界に居続けたことが功を奏したのかもしれません。最近では活動休止中のザ・ウォンテッドからソロデビューしたネイサン・サイクス「Kiss Me Quick」を手掛けていますが、このネイサンについては別曲を切り口としてここで以前紹介しました。
ネイサンは昨年末、ようやくフルアルバム『Unfinished Business』をリリース。「Kiss Me Quick」そして「Freedom」にて、アリの名がクレジットされています(なお両曲ともプロデューサーはロンドン・ノイズが担当)。アリは自身が歌手としてデビューした1998年から既に5ive(ファイヴ、と読みます)「That's What You Told Me」のソングライトを担当し、以降もオール・セインツ、アトミック・キトゥン、ブルー等、いわゆるR&Bライクなポップグループに曲提供し続けてきましたが、満を持してリリースした自身のアルバムは完全なR&B仕様。Mikiki(bounce)による『2005年までのアーバン界隈を愛するすべての人に大推薦』な逸品なのです。試聴は下記で可能ですが、是非CDを手に取ってほしいなと。CDにはボーナストラックとして「Grown & Sexy」が収録されています。
ちなみにアリは2010年代に入り、客演としてチェコスロバキアのDJ、タカーナによる「James Brown」(2011)、ポーランドのDJ、Gromee(日本語読み不明)による「Live For The Lights」(2013)に参加。どちらもスクリレックス的ひずみを用いたEDMですが、トラックの派手さに歌声が負けていないどころか強い存在感を示しているのが良いですね。これらの曲はApple Musicでチェック出来ます。
ちなみに今回のアルバム『Get Loved』。bounceでは編集長でライターの出嶌孝次氏がレビューを書いており、また音楽評論家の林剛氏もTwitterで言及。両氏が共に用いている"ジャヒーム"とは、2000年にシングル「Could It Be」、翌年にアルバム『Ghetto Love』でデビューした歌手のこと。デビューアルバムに収められたスムースダンサー「Just In Case」が好きだったなあと思い出した次第です。
そんなわけで、ここしばらくは『Get Loved』を聴き込もうと考えています。