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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

米シングルチャート、「Starboy」が遂に首位奪取

ビルボードシングルチャートを定点観測。祝日の関係上一日遅れて日本時間の水曜早朝に発表された、1月7日付最新チャート。レイ・シュリマー feat. グッチ・メイン「Black Beatles」などに阻まれ続けた、ザ・ウィークエンド feat. ダフト・パンク「Starboy」が遂に首位を奪取しました。最新チャートについての詳細は下記をご参照ください(トップ10カウントダウン動画もあります)。

前週の段階で、「Starboy」の主要3指標(デジタルダウンロード、ストリーミングおよびラジオエアプレイ)が全て下降に転じたため、『もはや首位奪取は難しいと言える』と先週書いたのですが…予想は外れに外れまくりで恥ずかしい限りです。とはいえ苦節14週目、8週もの2位を経験した中でようやく浮上出来たのは何より本人たちが安堵したことでしょう。

この「Starboy」を押し上げた要因は、デジタルダウンロードの復調。前週比28,000アップの86,000ダウンロードを記録し同部門で初の1位を獲得しました。これは集計期間(12月16日~22日)の一週間、この曲を69セントという安価で販売するという戦略が功を奏したため。なるほどこういう方法もあるのかと。他指標ではわずかながら数字を落としており、テコ入れ策が見事に的中しています。

ちなみにこの「Starboy」で、ザ・ウィークエンドは「Can't Feel My Face」「The Hills」(共に2015)に次ぐ3曲目の1位に。客演参加のダフト・パンクにとっては初のチャートイン(「Around The World」(1997 最高61位)から19年の時を経て初の1位を獲得したことに。なお、ダフト・パンクは、自身の「Harder, Better, Faster, Stronger」(2001)をサンプリングしたカニエ・ウェスト「Stronger」が首位を獲得したことにより、既にソングライターとして1位を獲得済です。

 

さて、問題はこの「Starboy」が安価ダウンロード販売を終わらせた後もトップを維持出来るか、ということ…この点においては既に次のシングルを待機させ、うまくバトンタッチ出来るように動いているようです。そのシングル、同じくダフト・パンクをフィーチャーした「I Feel It Coming」は前週から8ランク上昇し25位につけています。ストリーミングでは下降しているものの、デジタルダウンロードおよびラジオエアプレイは大きく上昇しており、ラジオエアプレイでは既に23位にランクイン。これは期待できるのではないでしょうか。

 

ちなみに「Starboy」に首位を明け渡した「Black Beatles」ですが、そこまで大きく後退しているというわけではなく、ストリーミング(前週比10%ダウン)、ラジオエアプレイ(同1%ダウン)は下降しているものの、デジタルダウンロードは前週比2%上昇に転じているのです。”マネキンチャレンジ”のブームが落ち着いているものとは思いますが、未だ曲の人気は根強いことが証明されたように思います。

 

トップ10には再浮上が2曲。ドレイク「Fake Love」は2ランク上昇し10位へ。7週ぶりのトップ10復帰を果たしました。特に定額制音楽配信サービス(サブスクリプションサービス)に基づくオンデマンドソングスストリーミングチャートでは前週10位から一気に首位に立ち、現代の音楽の接し方とドレイクとの相性の好さを示しているようです。

そのドレイク、今週41位に自身が客演参加したグッチ・メインの「Both」がランクインしたことにより、トップ100に132曲目のエントリーを果たしたことに。これは同じくラッパーのリル・ウェインにならぶ歴代2位の記録なのです。ちなみに上位はこのように。

●最もトップ100内にランクインした歌手(1958年8月4日付以降)

1位 グリー・キャスト (207曲)

2位 ドレイク、リル・ウェイン (132曲)

4位 エルヴィス・プレスリー (108曲)

5位 ジェームス・ブラウン (91曲)

6位 ジェイ・Z (86曲)

7位 クリス・ブラウン (82曲)

8位 カニエ・ウェスト (80曲)

9位 レイ・チャールズ (75曲)

10位 アレサ・フランクリン (73曲)

11位 ザ・ビートルズ (71曲)

12位 ニッキー・ミナージュ、テイラー・スウィフト (70曲)

Drake Ties Lil Wayne for Most Hot 100 Hits Among Soloists | Billboard(12月27日付)より

ラッパーは客演参加し易いため記録を作りやすいのかもしれませんが、それでもこの記録はすごいの一言。そしてグリー・キャストの総数たるや。このチャートもまた注目ですね。

 

9位に再浮上したのはマシンガン・ケリー feat. カミラ・カベロ「Bad Things」(前週14位)。この再浮上は、フィフス・ハーモニーからカミラが脱退したことが今月19日に発表されたことがきっかけ。

主要3指標が全て前週比10%以上の浮上というのですから、何が(再)浮上のきっかけになるか解らないですね。

 

 

もうすぐトップ10として米ビルボードが紹介しているのは、以前も紹介したアミーネ「Caroline」(16→11位)の他にこちら。

・13位 ミーゴス feat. リル・ウージー・ヴァート「Bad and Boujee」(前週16位)

・19位 ヤング・エムエー「OOOUUU」(前週47位)

・20位 リアーナ「Love On The Brain」(前週27位)

新鋭のラッパーがきちんとチャートに登場するというのは、アメリカの嗅覚の鋭さ、鈍くなさを示しているようで羨ましくなります。