プロ野球、今年の日本シリーズはファイターズの勝利で幕を閉じました。ファイターズの皆さん、おめでとうございます。カープの皆さん、お疲れ様でした。
さて、今年の日本シリーズの”テレビ中継”について、個人的には正直いって数多くの疑問が芽生えてしまいとても心地良いものではありません。スタープレイヤーに必要以上の注目が注がれ過ぎでは？ テロップが多過ぎやしないか？ 実況アナウンサーの間違いが目立ちすぎた？ というのもありますが、それらも含めて【大半の試合のテレビ中継がBSで流れなかった】という点において、非常に不親切と言わざるを得ません。
今年の日本シリーズの放送日程は下記に掲載されています。
第4、5戦のみがNHK-BSでの同時中継。他はテレビ東京を除く民放キー局が各1試合ずつ、キー局地上波のみで独占放送を行っているため、たとえばフジテレビ系列のない青森県、それもケーブルテレビ等の恩恵が受けられない中南津軽では第2戦を観ることが出来ませんでした。にもかかわらず、(ケーブルテレビ等で恩恵が受けられる)青森市にある県域民放ラジオ局では”今年の日本シリーズ盛り上がってますね！全試合観てますよ”というようなパーソナリティの声が聴こえてきて、県民感情逆なでしてやいないか？弘前近辺の人のこと考えている？などとすら思う自分がいます。大袈裟と言われればそれまでですが、仮に自分が大のプロ野球ファンならその場で強く抗議したことでしょう。我が地域と同様に、日本テレビ・TBS・フジテレビおよびテレビ朝日のどれかひとつ以上の放送が享受出来ない地域もあるでしょうから、その気持ちは分かってくださるはず。いやそういう人は少数派でしょうなどと言う方がいらっしゃったなら、仮に今後日本シリーズでテレビ東京が中継権を獲得し地上波のみで流したらどう思うか、想像していただけたならおわかりになることでしょう。
ではその”地上波のみで流す”理由はなぜかを考えてみます。
①大会の冠スポンサーを考慮した
今回の日本シリーズは【SMBC日本シリーズ】と名付けられており、冠スポンサーが付いています。しかしNHK-BSで放送されるとなると、(ロゴ等の排除は出来ないものの)”SMBC”の名前をうまく訴求することは出来ません。それゆえに民放のみの放送にこだわったのかもしれませんが、それでは民放のBS局でも流せばいいじゃないか？と言われるでしょう。仮にSMBC側が地上波のみでの放送にこだわったとしたならば、その”器量”を疑わざるを得ません。
②キー局が視聴率にこだわった
調べていくうちに、下記エントリーにたどり着きました。特に【BSやCSで生中継されないのはなぜ？】の項目には強く納得できる(せざるを得ない)ものでした。
(勝手ながら取り上げさせていただきました。問題があれば削除させていただきます。)
『地元球団のある地方では視聴率がとれても、関東のキー局では視聴率がとれない (中略) 関東では、地上波でプロ野球を中継する際、極力その視聴率をあげるために、BSやCSで並行放送「させない」という手段を行使』、さらに『地上波、BS、CSの全ての権利をとったうえで、あえてBSとCSで生放送をしていない』(『』は上記エントリーより)というのですから、そんなに視聴率が全てなのか！という思いを抱かざるを得ません。それもテレビ東京を除く全キー局が行っている以上、そのやり方の汚さ(はっきり言ってしまいますが)には呆れてしまいます。
これは地方の人の不便さの問題だけではありません。NHK-BSの放送はテロップが最小限に限られていて見やすく、また誘導的なスーパーもほぼありません。客観性にこだわることで、視聴者が考える隙を与えてくれているように思います。ところが今のキー局制作番組は、今回の日本シリーズも、バラエティ番組も、そしてニュース番組もこぞって情報過多で劇場型であり、視聴者が考える隙をなかなか与えてくれないとも言うことが出来、それゆえ情報を鵜呑みにしかねないという点で危ないと思うのですが如何でしょう。そういう点も考慮すれば、地上波か(NHK-)BSかという選択肢が、4試合分も与えさせてくれなかったというのはちょっとおぞましい問題だと思うのです。
今回の日本シリーズは試合内容自体が充実していたと聞きます。しかし伝える側が自らの利益だけにこだわることによって、試合の中身すら不当に(その評判を)落とさせかねないのでは？と思うと、実に不幸なことだと考えます。1試合の中継時間が4時間あったとしていくら視聴率にこだわったとしても、その視聴率におけるキー局年度平均視聴率に対する影響度は{365日(もしくは366日)×24時間}分の4でしかないのですから、堂々と構えているほうが、キー局自体の心象も悪くならなかったのではないかと考えるのですが如何でしょう。
