イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

キンドレッド・ザ・ファミリー・ソウル、”レーベルを持たない”レーベルから今月新譜リリース

フィラデルフィア発の夫婦デュオ、キンドレッド・ザ・ファミリー・ソウルが今月ニューアルバムをリリースする模様です。先行シングルはラッパーのフリーウェイをフィーチャーした「All My People」。

ジル・スコット(Jill Scott)の紹介を受けてHidden Beachレーベルと契約』(Kindred the Family Soul | bmrより)し、2003年デビュー。3枚のアルバムをリリースした後にインディレーベルのシャナキーに移籍し、『Love Has No Recession』(2011)、『A Couple Friends』(2014)をリリースしました。しかし今回の「All My People」、そしてアルバム『Legacy Of Love』(8月30日発売予定)はシャナキーからも離れ、発売元は”we're not a label"。私達はレーベルを持たないとでもいうようなレーベル名...仮にこれが、夫婦がシャナキーから解雇されたゆえに設立したレーベルだとしたならばこの名前は夫婦のレーベルに対するある種の決意表明なのかもしれませんね。

 

(ちなみに夫婦の最初の所属先であるヒドゥン・ビーチについては、個人的に好印象を抱いていません。ヒドゥン・ビーチ15周年記念作品とアンジー・フィッシャーのデビュー曲、いつ日本で手に入るのか(2015年2月26日付)でも書いたのですが、ヒドゥン・ビーチに所属していた方が今やほぼ在籍していない状況、レーベルの看板だったジル・スコットとの訴訟...をみるとその悪評は想像に難くないはず。良質な音楽を輩出し続けていただけに残念です。しかも現在の所属ミュージシャン一覧にはジル・スコットの写真が掲載され、あたかも現在も所属しているかのような見せ方にはやはり不信感が生まれてしまいます。)

 

キンドレッド・ザ・ファミリー・ソウルはチャート上で成功を収めているとは言い難いミュージシャンではあります。シングルでは米ビルボードの総合はおろかホットR&B/ヒップホップソングスチャートで一度も40位以内にランクインしていませんので、その成績不振がシャナキーから解雇された理由ではと考え先ほど仮定したわけですが。とはいえ、アルバムの内容は毎回良質であり好事家を中心に支持を集めていますし、シャナキー移籍第一弾作ではヒップホップ界の大御所のスヌープ・ドッグや、今年デビューアルバムをリリースしたBJ・ザ・シカゴ・キッドをいち早く起用するなど、有能なミュージシャンを集められる(また集まってくる)存在でもあるわけで、音楽好きやミュージシャンに支えられるなどして、夫婦の音楽活動が今後も続くことを願うばかり。

 

キンドレッド・ザ・ファミリー・ソウルのニューアルバム『Legacy Of Love』は今のところデジタルダウンロードのみの販売で、またApple Musicでの配信(の可能性について)は確認出来ていません。出来ることならフィジカルで...と願っており、たとえばPヴァインがシルクなどに続いて国内盤発売へ動き出してくれたなら...と期待しています。