KIRINJIが再来月にリリースするオリジナルアルバム『ネオ』の冒頭を飾る曲が先週末、『ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル』(TBSラジオ 毎週土曜22時)でOAされました。なぜRHYMESTERの番組でかというと。
今回、兄弟時代から数えてもグループ史上初の試みとして、外部アーティストとのコラボレーション・ナンバーを収録。アルバムのリード・トラック「The Great Journey」では、四半世紀以上にわたり日本のヒップホップ・シーンの先頭を走り続けるRHYMESTERとのコラボレーションが実現!
・<KIRINJI>リリース情報(7/6先行配信・8/3発売 NEWアルバム 「ネオ」) – KIRINJIオフィシャルサイトより
という流れから。キリンジ(兄弟時代)ではシングル「雨は毛布のように」でaikoさんを迎えているものの彼女はバックボーカルでの参加ゆえ、フィーチャリング名義は史上初。そしてラップの尺が非常に多いため、
(堀込高樹)ぼんやり聞いたらRHYMESTERの曲かな?って思っちゃうかも(笑)。
(宇多丸)その可能性はありますね。僕らもライブでできるぐらいの。
・宇多丸とKIRINJI 初コラボ曲『The Great Journey』制作秘話を語る - miyearnZZ Labo(6月12日付)より
と、まるで主従逆転してもおかしくないのですが、実際に聴いてみるとKIRINJIの演奏レベルの凄まじさ、そしてサビでの高樹さんの”まんしーつっ!”の破壊力たるや。KIRINJIの存在感を強烈に実感させられました。
曲のテーマ(そして高樹さんからの無茶ともいえるライムの発注)は上記miyearnZZ Laboさんの文字起こしを参照いただきたいのですが、このコラボで誕生した6分もの大作における、人類繁栄の歴史とラブホテルを探すカップル...過去と現在(そして想像してみようと促される未来)という両方のテーマ(時間軸)がシームレスにつながって昇華しており、宇多丸&Mummy-D両氏のラップがとにかく見事なのです。来月には先行配信されるので間違いなく買おうと思っていますが、それまで待てないという方は、ラジオ番組の録音がどこかにあるのでそこでチェックしてみるのもいいかもしれません(無論自己責任の範囲で、ですが)。
個人的にこの「The Great Journey」を聴いて思い出したのが、RHYMESTERの宇多丸さんがソロでフィーチャーされた、松井寛 feat. 宇多丸「Universe of Love」(アルバム『Mirrorball Flare + Royal Mirrorball Discotheque』(2014)収録)。こちらは壮大なオデッセイ感、そしてカップルの情事にスポットを充てた、宇多丸さん曰く『バリー・ホワイト的な』ナンバー(宇多丸 松井寛との共演曲『UNIVERSE OF LOVE』を語る - miyearnZZ Labo(2014年2月23日付)より)。この曲の持つゆったり感、ふくよかさが大好きで同年の私的ベストに取り上げたくらいなのですが、「The Great Journey」はソウルでもあればプログレッシブな要素もあり、また曲テーマも複数あってより高度な次元に至っているのではないかとすら。とはいえどちらが劣っているということではなく、共に大好きな曲に成っています。