イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

嵐のシングル売上が急伸した、その理由を危惧する

火曜日に速報が発表された5月30日付オリコンのシングルCDセールスチャート、嵐のダブルAサイドシングル「I seek / Daylight」が予想通りの1位となりました。が、初週売上73.8万枚という数字には驚きました。

前作「復活LOVE」(2月発売)の初週売上48.5万枚を25万枚以上も上回るロケットスタートを切った。

(中略)

初週/累積売上ともに70万枚を突破したのは、「Calling/Breathless」(13年3月発売)以来、9作(3年2ヶ月)ぶりとなった。

【オリコン】嵐、前作比25万枚増73.8万枚で1位 大野&松潤主演ドラマ主題歌の両A面 | ORICON STYLE(5月24日付)より

山下達郎×竹内まりや両氏による前作から25万枚という大幅上昇に驚いたのですが、その理由は下記に。

売上アップに関しては、2種リリース→3種リリースに増えた効果が大きかったと見られている。単純に盤種増が売上アップをもたらすとすれば、1種増やして25万枚アップしているため、あと1種増やして4種にした場合には初動90万枚以上を狙えるとも言える。こういった内容から、今回のランキングの結果で、嵐の非常に大きな人気を改めて知らしめたと言えるようだ。

嵐、3年2ヶ月ぶり初動70万枚超!安室奈美恵、22年連続トップ10入り! - 16/05/30付 オリコン週間シングルランキング結果速報(5月24日付け)より

 今回の3種リリースについては、初回限定盤1&2および通常盤となっており、初回限定盤1は「I seek」、2は「Daylight」のミュージックビデオおよびそのメイキングが、通常盤はCDのみで「ただいま」および「supersonic」を含む4曲(およびそのカラオケ)が収録という形。となると、ミュージックビデオもAサイド以外の曲も手に入れたいというファンは、全バージョンを買わざるを得なくなるわけです。それゆえ2→3種発売で売上が1.5倍以上になったのは納得出来ます。が、ならば初回限定盤を1種にして2曲のミュージックビデオとメイキングを収録出来なかったのか?という疑問を強く抱いてしまうのです。

 

売上の大幅上昇の例でいえば、同じく嵐の昨年のアルバム『Japonism』が近い形ではなかったかと思います。弊ブログで以前記載しました。

アルバムが前作より1.24倍という伸びに留まっているのはおそらく、(上記で引用したネット通販レビューに掲載された)1万超えという金額の負担の大きさに因るところが大きいでしょう。他方、今回のシングル3種全て購入してもその金額は4千円強。まだ出しやすい金額なのかもしれません。

 

とはいえ、1種増やしたことでファンに負担を強いたのは事実。「I seek」と「Daylight」を分けてリリースする手もあったでしょうが、もしかしたら『Japonism』の大幅増を見越して、”シングルでもビッグセールスを”との狙いが今回のダブルAサイドシングルの発売形態に反映されたのかもしれません。しかしながら、3種購入するとシングル表題2曲はもろ被りなわけで、そのやり方に自分は懐疑的になりますし、ファンの中にもそういう声はあがっているのではないかという気がします。

 

 

複数種販売ならば、CD+DVDもしくはブルーレイの初回限定盤とCDのみの通常盤の手法のみ許していいというのが私見です。映像特典を”買うか買わないか”という二択で済み、ほとんどの方はどちらかを買うわけで売上枚数とユニークユーザー(CDを購入した”人”。一人が複数購入してもユニークユーザーは1となる)はほぼ同じになります。しかし今回の嵐や、AKBグループのような販売手法ではユニークユーザーは見えてきませんし、実際は売上枚数の数分の1しかいないかもしれません。彼らが好き好んで複数種購入していると言われればそれまでですが、限られた人数に複数種買わせようとするレコード会社や歌手側の戦略は、とても健全といえるものではありません。