あらためて、手嶌葵「明日への手紙」に浸っています。
ドラマ『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(フジテレビ系)主題歌。ドラマは視聴率という一側面ばかりがメディアニュースで取り上げられ、フジテレビ自体の問題と絡めて失敗だと安易に片付けられがちですが、録画率の低くなさやなにより内容の素晴らしさを聞くに、そろそろ視聴率という指標のみ、いわば”質より量”に固執することから脱却したらどうか...と思わずにはいられません。
さてこの曲、昨日の『うたコン』(NHK総合 毎週火曜19時30分)でも披露されましたが、作詞作曲クレジットを見て感慨ひとしお。ソングライトは池田綾子さんなんですね。彼女の「Life」が大好きでした。
池田さんによる2枚目のシングル「Life」(2002)は同年夏のドラマ、『愛なんていらねえよ、夏』(TBS系)の主題歌。渡部篤郎さんが主演を務め、広末涼子さんが盲目の少女を演じた堤幸彦氏演出による作品でしたが、視聴率は平均8%未満と惨敗。個人的にも大好き(さらにこのドラマでの渡部さんを真似る松村邦洋さんのチョイスにも脱帽)なのですが、もしかしたら当時広末さんに対して渦巻いていた強いバッシングが数字に響いたかもしれません。しかしながらドラマは深みがあり、なにより広末さんの演技力は素晴らしかったと記憶しています。視聴率が獲れなかったことの原因がバッシング等によるものだとしたならば、人は表層しかみないものなのではないか...と、当時抱いた疑念を思い出し、昔も今も視聴率だけがほぼ絶対視される業界は悪い意味で変わっていないと痛感させられた次第です。
「明日への手紙」が収録された『Aoi Works~best collection 2011~2016~』には、池田綾子さんとの共演による「この瞬間を」も収められ、手嶌さんと池田さんの相性の良さを感じます。「明日への手紙」およびアルバムの浸透を機に、池田さんへも注目が集まること、そして先述したドラマが正当に評価されることを願うばかりです。
ちなみに「明日への手紙」はセールスチャート(オリコン)では最高14位ながら、複合指標に基づくビルボードジャパンのシングルチャート(Hot 100)では2月29日付で1位を獲得。セールス以上に他指標で支持されたことが1位につながったわけで、曲への正当な評価が反映されたと言えるでしょう。テレビにおいても視聴率以外の評価基準というものが確立される必要がある、と強く考えます。