イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

聴取率とスペシャルウィークへの"ぼんやり"した疑念を解消させてくれた"ぼんやり"特番

首都圏などラジオ局の多い地域においては、視聴率のラジオ版である聴取率を測るための期間、"聴取率調査週間"が設けられています。その期間内の数字が局の良し悪しに直結される(とみなされる)ことから、ゲストやプレゼントを豪華にするいわゆる"スペシャルウィーク"を開催します(このスペシャルウィークに関しては、ふと思ったのですが、ラジオのスペシャルウィークなぜ、各放送局、同じ... - Yahoo!知恵袋に詳細が掲載)。

最近ではスペシャルウィークのことを聴取率調査週間とはっきりいうところも出てきて、数週後に結果を発表する番組も。とりわけ数字を発表する傾向にあるTBSラジオ昨年12月の調査の結果、局として13年半トップをキープしており強いのですが(トップだからこそ数字を話せるとも)、たとえば地方局では未だにオールナイトニッポンの放送地域が『JUNK』などより多く、またニッポン放送の名前やブランド力がTBSラジオより強い印象があり、数字の良さが局の利益に必ずしも繋がっていないのではないかという聴取率への疑問を以前から抱いていました。よってスペシャルウィークの開催にも懐疑的に思うところがあったのですが、在京時代に特に六本木方面より、とりわけその時期にプレゼントが当たっていたため強く言えない部分はあったり。とはいえ漠然ともやもやは抱え続けていました。

 

そんな中で先週の日曜日、まさにスペシャルウィーク開催中に放送された番組が画期的でした。

番組放送時(19時から1時間)、非公式の番組ハッシュタグ"#bonyari954"(954はTBSラジオの周波数)を用いたツイートが多数みられ非常に盛り上がっており、終了時にはリスナーのみならず出演者からも定期的な開催を期待する声が挙がるほど充実した内容でした。各番組の内容を振り返るのみならず、スペシャルウィークに関する素朴な疑問をリスナーから取り寄せたり、その疑問に対してTBSラジオの"お偉い方"が回答に困惑していた様子をみるに、スペシャルウィークについて聴き手も発し手も"ぼんやり"した何かを抱いていたんだなという思いを実感しました。

そしてこの特別番組は、"ぼんやり"と冠したしまおまほさんのコーナーを持つ『ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル』経由でポッドキャスト配信中。1週間程度の期間限定配信なので明日には消えるかもしれず、急いで保存することをお勧めします(※なお番組中に他の番組を音源を使って振り返っていますが、そのような音源は消えています)。下記のTBSラジオプロデューサー、橋本氏のツイートにポッドキャストのリンクが貼られています。

橋本氏はTBSラジオ番宣班のツイートを非公式リツイートする形でつぶやいていたのですが、ハッシュタグを"#bonyari954"に付け替える形での発信だったため、ハッシュタグが公式化且つ番組が定期開催へ動き出したかと希望的に観測する声が。たしかにもろもろ公式&定期化していただきたいくらい内容の濃いものでしたし出演者陣のラジオ愛も感じられました。橋本氏はその濃さや思いを実感しているのかもしれません。

 

番組自体やその反応をみるに、自分のようにスペシャルウィークに懐疑的な者は少ないように思いましたが、個人的には、番組を聴いてみてスペシャルウィークは楽しんだもの勝ちだという印象を抱くことが出来ました。また、こういう攻めの放送をTBSラジオが行うことに、聴取率は良くても営業成果などに必ずしも繋がっていないという(勝手な印象かもしれませんが)TBSラジオのジレンマを自ら打破せんとする心意気が感じられたことは好印象です。聴取率調査手法のアナログ感(ラジオ個人聴取率調査 | ビデオリサーチを参照)のアップデートが必要(radikoの活用など)だとは思うのですがこればラジオ全体の問題なのか番組内では語られず。とはいえ聴取率スペシャルウィークにおける"ぼんやり"としたわだかまりが、同じ"ぼんやり"でも薄明かりに変化したのはこの番組と出会えたおかげです。

こういった省みと攻めを続けていけば、聴取率という数字だけじゃなく手応え的にもTBSラジオがナンバーワンになるんじゃないかと思います。