先週水曜、発売日同日にレンタル開始となった三浦大知さんのシングル『Right Now / Voice』を確認しにレンタル店に寄ったら、ジャスティン・ビーバーのアルバム『Believe』とマドンナのアルバム『MDNA』がレンタル開始されていて驚きました。洋楽は基本的にレンタル”解禁”が発売の1年後だったはずです(エイベックスや一部インディの作品は邦楽と同じか、それに近い期間での”解禁”となっています)。
で、TSUTAYAのレンタルカレンダーを確認すると、どうやらジャスティンやマドンナに限らないことが判明。
以下、アルバムタイトルのリンク先はTSUTAYA、国内盤発売の日付のリンク先は同CDのAmazonとなっております。
●12/12レンタル開始
・ジャスティン・ビーバー(Justin Bieber)『Believe』 国内盤発売:6/20
・マドンナ(Madonna)『MDNA』 国内盤発売:3/26
・オムニバス『Grammy Nominees 2012』 国内盤発売:2/1
・マルーン 5(Maroon 5)『Songs About Jane 10th Anniversary Edition』 国内盤発売:7/4
・ファー・イースト・ムーヴメント(Far East Movement)『Dirty Bass』 国内盤発売:5/30
・オムニバス『DJ KAORI'S PARTY MIX 3』 国内盤発売:4/18
・オムニバス『the Piano songs classy』 国内盤発売:8/29 (同シリーズ『fresh』も同日)
・アウル・シティー(Owl City)『The Midsummer Station』 国内盤発売:8/22
・ナズ(Nas)『Life Is Good』 国内盤発売:7/25
・フランク・オーシャン(Frank Ocean)『channel ORANGE』 国内盤発売:8/22
●2013/1/19 レンタル開始
・ニーヨ(Ne-Yo)『R.E.D.』 国内盤発売:10/31 ※現段階では”1月中旬”解禁予定
・オムニバス『DJ KAORI'S BEST OF NE-YO 2012 MIX』 国内盤発売:10/3
・リアーナ(Rihanna)『Unapologetic』 国内盤発売:11/21
・マルーン 5(Maroon 5)『Overexposed』 国内盤発売:6/20
・ミーカ(Mika)『The Origin Of Love』 国内盤発売:10/3
・ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)『GRRR!』 国内盤発売:11/14
・KARA『GIRLS FOREVER』 国内盤発売:11/14 ※現段階では”1月中旬”解禁予定
・カーリー・レイ・ジェプセン(Carly Rae Jepsen)『Kiss』 国内盤発売:9/19
・オムニバス『Cruel Summer』 国内盤発売:10/17
・マムフォード・アンド・サンズ(Mumford & Sons)『Babel』 国内盤発売:9/26
・ザ・バンド・ペリー(The Band Perry)『The Band Perry』 国内盤発売:10/24
・ノー・ダウト(No Doubt)『Push And Shove』 国内盤発売:9/26
・マイケル・キワヌーカ(Michael Kiwanuka)『Home Again』 国内盤発売:9/19
・テイラー・スウィフト(Taylor Swift)『Red』 国内盤発売:10/24
主な作品を取り上げてみましたが、発売からレンタル開始までの期間が確実に1年を下回り、リアーナに至っては2ヶ月弱での”解禁”なんですよね。2月開催のグラミー賞の主要部門にノミネートされている作品も複数あり、この”解禁”は嬉しいことですが、何か動きがあったんじゃないかと思えてなりません。
で、その動きを探っていたところ、このようなツイートが。
UNIVERSALの洋楽が1年を待たずして半年とかそこらでレンタル解禁され始めたようなんだけど何事でしょうか。洋楽レンタルが1年禁止なのは海外本社の意向と聞いたことがあるので、日本側だけのあれこれじゃ無理な気がするんですが。ちなみにAVEXだけは邦楽と同じ、インディーはまちまち。
— Skedgeさん (@gcskg) 12月 12, 2012
たしかに、先に取り上げた1年未満での”解禁”作品はいずれもユニバーサルなのでした。CDの規格品番がいずれも”UI(ユニバーサルインターナショナル)”ではじまっているんですよね。是非TSUTAYAのリンク先を参照してみてください。
(ちなみにKARAのみ”UM(ユニバーサルシグマ)。ただし、KARAの前作は1年後のレンタル開始でしたので、これも解禁の一環といえるかもしれません)
さて、そもそも洋楽のレンタルがなぜ1年間待たなければいけないのか、についてですが、このような表記がありました。
●洋盤:アルバム、シングルともに発売日から1年間レンタル禁止
昭和59年の貸与権創設時には国際著作権条約への加入等の関係により、海外レコードメーカーには貸与権が付与されませんでしたが、先の国内ルールに海外レコードメーカーも準拠することを前提に、平成3年の著作権法改正により洋盤にも貸与権が付与されました。にもかかわらず、改正法が施行されるや海外レコードメーカーは洋盤について一方的に発売から1年間のレンタル禁止措置をとり、そのまま現在に至っております。CDVJでは、洋楽をもっと皆様にも聴いていただくためにも、今後、禁止期間の撤廃もしくは邦盤並みの禁止期間の短縮を強く訴えていきます。
・CDV-NET - レンタルと著作権より
”海外レコードメーカー”が”一方的に”とあり、それに対して撤廃や短縮をCDV-JAPAN(日本コンパクトディスク・ビデオレンタル商業組合)側が”強く訴え”るという構図。実際は1年間レンタル禁止でなくてよいにも関わらず、海外メーカーが強硬な姿勢を採っているということに過ぎず、それが長らく行われているために、1年間のレンタル禁止は当然という認識になってしまったということなのかもしれません。
(流れについての詳細は、Yahoo! JAPAN 知恵袋で分かりやすく記載されています。
・Yahoo! JAPAN 知恵袋 - 何故洋楽レンタル一年もかかるのですか?
なお、リンク先のURLはほとんどなくなっております)
ですから、逆に考えれば、1年間のレンタル禁止という慣例を破るのも、海外メーカーにあるといえます。ゆえに海外のユニバーサル側がレンタル”解禁”に踏み切った、ということになりますね。
親しくさせていただいている音楽の販売担当者に話を伺うと、現在CDという形(フィジカル)で業界が成り立っているのは大袈裟かもしれないものの日本くらいのもので、それもシングルCD(複数種発売やDVDなどの特典付きなどの工夫はありますが)が売れているところは世界的に珍しい、とのこと。海外では配信が定番化し、CDそのものの売上にこだわらなくなったこともあって、ゆえに日本での解禁を認めたのではないか…という推測を教えてくださいました。ものすごく納得です。
ユニバーサルは邦楽でもゴールデン☆ベスト999円という破格のCDをリリースしており、かなり挑戦的といえるかもしれません。本来はきちんとルールを強く遵守させて洋楽のレンタル開始を邦楽と同一にさせるべきであり、なし崩し的なのはどうかな?と思うところもあるのですが、これを機に各社もユニバーサルを追随してくれたなら嬉しい、という気持ちの方が勝っています。今後の動向に注目しましょう。