先日、”やってみたい”と書いたラジオ番組原案についてですが、勝手に『Diggin’』というタイトルを付けて空想していたりw
で、その中の根幹となる特集について。
その週にリリースされるCD(シングル / アルバム、国内盤 / 輸入盤はさほど問わない)の中から一作品をピックアップし、その世界観を”ちょっと広く、ちょっと深く”掘り下げる
と原案にて書きましたので、番組を実際に手にするまで(?)はブログを”架空番組”とみなして、特集部分を紹介していこうかなと思います。基本、7曲を紹介していきます。
【R&B Divas United】
90年代中盤以降ヒット曲を連発してきた、フェイス・エヴァンス等ベテラン女性R&Bシンガーが大挙出演するテレビ番組『R&B Divas』。そこから登場した同名CDが(一応は?フェイス・エヴァンス名義で)今週10/2に輸入盤で登場し、R&Bファンの間で話題になっています。フェイスは今作について『私たちのカルチャーがいま飢え求めている、そういうR&Bとは何かを思い出してもらえるアルバム』と話しており(bmr.jp『フェイス・エヴァンスらの『R&B Divas』、全曲試聴がスタート』より)、これまでの自身の音楽性にこだわり、R&Bを伝えんとする意気込みが伝わってきます。なんせ、パワフルなヴォーカリストが結束して歌い上げているのですから!
そこで今回は、女性R&Bアーティストが一同に介した作品(3組以上参加)をまとめて紹介していきます。
・Faith Evans, Nicci Gilbert, Monifah, Syleena Johnson & KeKe Wyatt「Lovin' Me (Theme From R&B Divas)」
(アルバム『R&B Divas』(2012) 収録)
軽快なソウルサウンドをバックに、女性陣がまるで自由を謳歌するかのように微笑みながらも力強く歌い上げるナンバー。どうやらテレビ番組の中で彼女たちは”壮絶な過去”を明かすこともあるようで、その過去があるから今が幸せなんだと歌っているかのよう。
・Christina Aguilera, Lil' Kim, Mya & P!nk「Lady Marmalade」
(アルバム『Moulin Rouge! Music from Baz Luhrmann's Film』(2001) 収録)
ラベル(Labelle)のカヴァー。映画『ムーラン・ルージュ』主題歌。ピンクもアギレラもR&Bというよりはポップフィールドだけど、特にアギレラの歌唱力のねじ伏せ度合いは他のR&Bアーティストよりも抜きん出ててひたすら逞しい。全米1位。
・Various Artists「Freedom (Theme From Panther)」
(アルバム『Panther: The Original Motion Picture Soundtrack』(1995) 収録)
映画『パンサー/黒豹の銃弾』主題歌。映画(筆者未見)の解説を読む限り重厚と思しき作品に相応しい、ゴスペルクワイアの持つ力強さをより尖らせた感じの逸品。アーティスト名義を”Various Artists”にしたのは、総勢58組ものアーティストが参加している故。
・Brandy, Tamia, Chaka Khan & Gladys Knight「Missing You」
(アルバム『Set It Off: Music From The New Line Cinema Motion Picture』(1996) 収録)
映画『セット・イット・オフ』サントラ収録。異色の組み合わせなのは映画同様に”4人組”に設定したからか。若手二人が1番を担い、2番をグラディス、そして一番美味しいところをシャカが…と、徐々に歌声が濃く、説得力が増すような構成に。
・Faith Evans, Kelly Price & Fantasia「True Colors」
(アルバム『R&B Divas』(2012) 収録)
フェイスが今度はケリー・プライス&ファンテイジアと組んだ、ご存知シンディ・ローパーの名曲カヴァー。柔らかながらもしっかりしたハーモニーはシルクの如き感覚。ケリーもファンテイジア(と彼女の母)もゴスペルを歌い上げており、この歌には諭しや赦しも内包しているように聴こえる不思議。
ちなみにフェイス&ケリーといえば、ホイットニー・ヒューストンに招へいされた「Heartbreak Hotel」も格好良すぎですね。
・Coko feat. Faith Evans, Fantasia & Lil' Mo「Endow Me」
(アルバム『Grateful』(2006) 収録)
今年、SWVとして15年ぶりにアルバムをリリースしたココの、ゴスペル進出第1弾アルバムに収録。ゴスペル界の大御所で、あのカレン・クラーク・シェアード(キエラ・”キキ”・シェアードの母)を擁するクラーク・シスターズのカバーゆえ、ハードル高いと思いきや、正攻法で堂々と挑む勇ましさたるや。この挑戦が、後にパティ・ラベルの名曲「If Only You Knew」に取り組むきっかけとなったのかも。「If~」は先述のSWV復帰作に収録されてますが、ソロで日本にて披露された動画が2万6千以上の再生回数に!
・Whitney Houston, Cissy Houston, Dionne Warwick & Family「Family First」
(アルバム『Tyler Perry's Daddy's Little Girls - Music Inspired By The Film』(2007) 収録)
ホイットニーの名共演盤は数あれど、敢えてこの曲を。前年に離婚が成立し、ようやく復帰への道筋を歩みはじめた彼女が最初に放った作品。”悪しき夫”からホイットニーを引き離すために尽力した母シシーと、従姉ディオンヌ・ワーウィックと共に家族愛を歌っています。復帰前のヴォーカルは戻らずも(亡くなる前まで戻らないままでしたね…)、家族親戚の愛によって着実に前に歩みだそう、表舞台に戻ろうとする志を、歌声から確かに感じます。
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取り上げた作品の多くが映画サントラ発だったり、ゴスペルだったりでしたが、その方が共演の機会が得やすいのかもしれません。そしてそれらの曲から感じるのは、臭い表現を敢えてするならば、”絆”なんですよね。曲を通じて伝えたいことが、映画の世界観だったり、R&B復権だったり、福音だったり…と非常に明確であるゆえ、伝えたいことや目標のために一丸となりやすいのかもしれないですね。
というわけで、今日は【R&B Divas United】と題してお送りしました。