ラジオではリリース直後の曲、放送局や番組の一押し曲が多くOAされるのみならず、季節感をより強く反映します。昨年12月21~27日を集計期間とする1月4日付ビルボードジャパンソングスチャートのラジオエアプレイ指標では山下達郎「クリスマス・イブ」が2位に入り(総合では44位)、マライア・キャリーやワム!の定番クリスマスソングがSEKAI NO OWARI「silent」共々、同指標でトップ10入りを果たしています。
翌週、1月11日付ビルボードジャパンソングスチャートにおけるラジオエアプレイ指標は大きく変わります。昨年12月28日~1月3日が集計期間となっており、2020年のヒット曲を振り返ったり『NHK紅白歌合戦』で特に印象的な曲をOAする傾向がみられました。ザ・ウィークエンド「Blinding Lights」やレディー・ガガ & アリアナ・グランデ「Rain On Me」が同指標でトップ10入りしたのは前者の典型と言えるでしょう。その中にあって、ラジオエアプレイ指標を制したのがYOASOBI「夜に駆ける」でした。
上記はNHKのYouTubeアカウント発となる、2019年『NHK紅白歌合戦』での映像。NHK発の動画にはビルボードジャパンソングスチャート動画再生指標のカウント対象となるISRC(国際標準レコーディングコード)が未付番のため、「カイト」は一度としてこの指標が加算されていません。直近30週分のチャート推移(CHART insight)をみると、赤の折れ線で表示される動画再生指標はゼロ。一方で12月に(アルバム『This is 嵐』収録曲として)デジタル解禁された「カイト」は、ダウンロードとストリーミングでチャート構成比のおよそ4分の3を占めています。しかし、CDをパソコン等に取り込んだ際にインターネットデータベースにアクセスする数で示されるルックアップがCDリリース以降常時高いこと、およびその理由がCDレンタルの取込による可能性を踏まえれば、動画も含めてCDリリースと同時期にデジタルが解禁され接触環境が充実していれば年間ソングスチャート10位以内進出もあり得たと思うのです。その点において非常に勿体なく感じています。
1月9日付ではクリスマスソングが実質1日のみ加算対象であったことから大きく後退、それに伴いこれまでランクインしていた曲が上昇したわけですが、2つのグローバルチャートで以前トップ10入りを果たしていたLiSA「炎」が大きく伸ばし、さらにYOASOBI「夜に駆ける」がGlobal Excl. U.S. において最高位を更新しているのは特筆すべき点。最新チャートの集計期間は大晦日までであり、「炎」の日本レコード大賞受賞、「夜に駆ける」の『NHK紅白歌合戦』での初歌唱が大きく影響を与えただろうことが容易に想像できます。
前週はクリスマスソングがトップ10内に9曲ランクインしていましたが、今週はストリーミングおよびダウンロードの集計期間が12月25日金曜から、ラジオエアプレイが12月28日月曜からの1週間であり、クリスマスソングはストリーミングおよびダウンロードの初日分のみ加算と言っても過言ではない状況。そんな中にあって前週首位のマライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You」は9位にとどまりました。ストリーミングは前週比59%ダウンの2270万ながら同指標通算10週目のトップとなっており、クリスマス当日のストリーミングが如何に凄まじかったかがよく解ります。ダウンロードは前週比66%ダウンの4000、そしてラジオエアプレイは140万となっています。
クリスマスソングが大きく後退したソングスチャートを制したのは24Kゴールデン feat. イアン・ディオール「Mood」。ストリーミングは前週比4%ダップの1750万(同指標5位)、ダウンロードは同39%アップの7000(同指標6位)、そしてラジオエアプレイは同1%アップの8230万(同指標1位)となり、全指標が上昇。ラジオエアプレイは10週目の首位を獲得しています。「Mood」は昨年10月24日付で初の首位を獲得して以降、今回が3度目の返り咲きとなり、ドレイク「Nice For What」(2018)と並ぶ最多記録となります。
グローバルチャート速報も紹介。200を超える地域の主要デジタルプラットフォームによるストリーミングとデジタルダウンロードで構成され、歌手のホームページでの販売分を含まないグローバルチャート。1月9日付ではGlobal 200をマライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You」が、Global 200からアメリカの分を除いたGlobal Excl. U.S.をBTS「Dynamite」が制しました。
Global 200のほうがクリスマスソングが多くトップ10入りを果たしているのは、米が他国に比べてクリスマス当日にクリスマスソングをよく聴く傾向があるためと言えます。
マライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You (邦題:恋人たちのクリスマス)」はストリーミングが前週比55%ダウンの5830万、ダウンロードが同60%ダウンの11000ながら、12月25日からの一週間を集計期間とするGlobal 200を制し、昨年9月に新設された同チャートで最長となる4週目の首位を獲得しました。ちなみに3週首位を獲得しているのはバッド・バニー & ジェイ・コルテス「Dákiti」(今週2位)、BTS「Dynamite」(今週3位)、そしてカーディ・B feat. メーガン・ザ・スタリオン「WAP」(今週トップ10圏外)の3曲となります。Global 200では「All I Want For Christmas Is You」を筆頭に、クリスマスソングが4曲トップ10内にとどまっています。
Global 200で新たにトップ10入りを果たしたのはカロルG「Bichota」(21→9位)。ストリーミングが前週比8%ダウンの6360万、ダウンロードが同6%アップの1000を獲得しています。
Global Excl. U.S.ではマライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You」が3位にダウンし、BTS「Dynamite」が同チャート史上最長となる7週目の首位を獲得。ストリーミングは前週比10%ダウンの5000万、ダウンロードは同21%アップの16000を獲得しています。このGlobal Excl. U.S.ではマライア・キャリーの他、ワム!「Last Christmas」が3ランクダウンながら10位に入りクリスマスソングは2曲登場。またエド・シーラン「Afterglow」は今週初めて1週間フルで集計されたことからストリーミング2050万およびダウンロード13000を獲得、前週から66ランクアップし10位に到達しています。